石灰窒素の話題が挙がり、そろそろ石灰窒素の作用機序も丁寧に見ておこうかと思ったので、今回はその内容を記載する。
※以前、石灰窒素の作用機序で石灰窒素の作用機序について触れたが、今なら更に深く理解できるかもしれないので、再び話題に挙げる。
石灰窒素というのは、化学式がCaCN2で示された、カルシウムシアナミドと呼ばれる化合物になる。
石灰窒素を水に溶かすと、
CaCN2 + 2H2O → H2CN2 + Ca(OH)2
でシアナミド(H2CN2)と消石灰{Ca(OH)2}に分かれ、シアナミドには強い殺菌・殺虫・除草作用があり、農薬のような働きがなりつつ、消石灰の方は土壌のpHを上げる。
シアナミドといえば、
緑肥のヘアリーベッチの根から分泌されているという研究報告がある。
一旦、シアナミドの作用機序は置いといて、土壌中でのシアナミドの変化について見てみると、加水分解により
H2CN2 + H2O → (NH2)2CO
で尿素になり、土壌の微生物の働きにより、
(NH2)2CO + 2H2O → 2NH4+ + CO32-
でアンモニウムイオンと炭酸イオンに分離し、アンモニウムイオンは植物の根から吸収されるか、硝化により硝酸イオンになり、
CO32- + 2H+ → H2O + CO2
で土壌のpHを上げる。
とりあえず、今回の内容で石灰窒素が土壌のpHを上げること、カルシウム肥料として働くことと窒素肥料として働く事が見えてきた。
これを踏まえた上で、次回以降でシアナミドの農薬のような働きを見ることにしよう。
