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カテゴリー : 農薬/page-2

電子書籍の販売をはじめました
 

石灰窒素の作用機序

土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?で緑肥のヘアリーベッチに土壌消毒の代替になる可能性があるのではないか?という内容を記載した。この話の背景として、ヘアリーベッチには強力なアレロパシーがあり、周辺の草の発芽を促して枯らすという報告があることがある。ヘアリーベッチの根からはシアナミドが分泌されるという報告があり、シアナミドというのは土壌消毒で用いる石灰窒素の有効成分でもある。ヘアリーベッチが土壌消毒の代替になるか?を判断するためにはシアナミドの作用がどのようなものであるかを

 

土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?

前回のエンドウの寒さへの強さの秘密はどこにあるのかい?の記事を作成している時にふと思ったことがある。前回の草は○○エンドウという名前が付いている草だと思うけれども、緑肥のヘアリーベッチの底力緑肥でこの草の仲間にヘアリーベッチという草がある。このヘアリーベッチという緑肥はマメ科で根粒菌との共生で窒素固定が出来るだけでなく、根から分泌されるアレロパシーで周辺の草を抑え込む。アレロパシーの仕組みはどうやら周辺の草のタネの休眠を早期に打破し、適切な時期でない時の発芽で

 

青枯病の原因菌について調べてみた

ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制で、芳香族カルボン酸 + 二価鉄 + 過酸化カルシウムで青枯病の発生を抑制できる研究結果の紹介をした。上記組み合わせで強力な酸化作用のある活性酸素が青枯病の原因菌を殺菌するというのが抑制の仕組みとなる。活性酸素による殺菌であるならば、おそらく他の菌でも同様のことが言えるはずだということで、青枯病の原因菌を知れば様々な応用も出来るはずということで青枯病の原因菌について調べてみることにした。青枯病

 

ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制

SNSのタイムラインを眺めていたら、とても印象に残った研究のプレスリリースがあったので今回はその研究成果が広まって欲しいという願いを込めて紹介する。紹介したい研究結果というのは、Generation of hydroxyl radicals by Fe-polyphenol-activated CaO2 as a potential treatment for soil-borne diseases Cláudio Kendi Morikawa Scientific R

 

食用キノコから発見されたストロビルリン

ネギのべと病もストラメノパイル前回、ネギ栽培で厄介なべと病に触れた。べと病はフハイカビという卵菌類由来の病気であることを記載した。べと病でいろいろと読んでいたら、べと病対策で頻繁に使用されているとある農薬の作用点が目に付いた。有効成分がアゾキシストロビンという農薬だ。食用キノコ(シメジ)から発見されたストロビルリンと同様の作用がある。ストロビルリンの作用点はミトコンドリア内の複合体Ⅲを阻害して、生物の電池であるATPの合成を阻害して

 

ネギのべと病もストラメノパイル

ショウガの根茎腐敗病とストラメノパイルでショウガの根茎腐敗病は卵菌類という原生生物由来の病気であると触れた。ショウガの根茎腐敗病の対策の前に、他の作物で卵菌由来の病気がないか?調べてみることにした。で、色々と振り返ってみたら、ネギのべと病も卵菌由来の病気であった。※上の写真はべと病の初期症状だとされるべと病で振り返ってみると、亜リン酸カリの葉面散布が有効であると以前触れた。亜リン酸肥料、再考もし、亜リン酸カリが卵菌に対し

 

乳酸菌バクテリオシン

前回の軟腐病対策としての乳酸菌由来の農薬で、乳酸菌由来の農薬の開発の研究内容に触れた。作用機構を見ると、・バクテリオシン・作物の免疫向上・病原性微生物との競合の3種を紹介していたが、一番目のバクテリオシンは主因ではないと記載されていた。なぜバクテリオシンが主因ではないのか?バクテリオシンについて調べてみることにした。検索の前に少しだけ触れるとバクテリオシンというのは乳酸菌が自身の群に他の菌が侵入してこないようする為の抗菌作用のある物質の総称

 

軟腐病対策としての乳酸菌由来の農薬

乳酸菌のことを調べていたら、乳酸菌Lactobacillus plantarumを使った微生物農薬の開発 日本農薬学会誌 40(1), 12 日本農薬学会誌という論文が引っかかった。読んでみると、ハクサイの軟腐病用の農薬として触れられていた。対軟腐病農薬と言えば、作用機構が気になるところで読み進めてみる。乳酸菌といえば、By Photo Credit: Janice Haney CarrContent Providers(s): CDC/ Pete Warde

 

鱗翅目の幼虫が真っ白になっていたんだって

写真を掲載することができないのだけれども、ちょうど2年前あったりにSNS経由で知人から一枚の写真が届いた。その写真は有機栽培をされている方の畑が4年目を迎えたあたりで、畑にいた作物を食害する鱗翅目の幼虫の至るところから白い菌糸が出ている写真だった。その姿は※図はhttp://www.silk.or.jp/silk_gijyutu/pdf/8-4_5setsu.pdfの144ページ目より引用カイコの白きょう病にそっくりであった。※上の写真の下の方

 

サナギタケの胞子はどこにいる?

虫に寄生するキノコの冬虫夏草先日の投稿をSNSに投稿したら、下記のようなコメントが返ってきた。/**************************************************/サナギタケ、たまに見ますね。むかし、腐葉土入れたらハウス内でも結構出ました。確かに土の中で殺す手段があれば、ヨトウ対策にはベストですね。業界にそまってしまうと、ヨトウは土の中に潜むからなかなか防除できない、と固定観念が染みついてしまって。そんな自分の頭に渇を入れていただきました。

 

グラスエンドファイトと天敵でヨトウの被害を減らせるか?

グラスエンドファイトのアルカロイドに頼りたいの続きイネ科植物と共生する菌でグラスエンドファイトというものがあり、グラスエンドファイトが合成するアルカロイドには、植食性の昆虫に対して致死性、もしくは食害抑制がある。この効果をヨトウの被害の対策に出来ないか?と調べていたところ、エンドファイト活性のあるイネ科の緑肥のタネが既に販売されていることを知った。芝・緑化・緑肥 | 品種検索 | ペレニアルライグラス | アフィニティ - タキイ種苗今回はこの続きヨト

 

グラスエンドファイトのアルカロイドに頼りたい

グラスエンドファイトとヨトウの記事で、共立出版 基礎から学べる菌類生態学という本で、グラスエンドファイトに感染されているホソムギをヨトウの幼虫に餌として与えたところ、非感染植物を与えた場合に比べて成長が著しく抑制された。という内容が記載されていたことを紹介した。この話題を挙げた背景として、/**********************************************/今年はヨトウの被害がひどかったという方が多かった。ヨトウというのは

 

畑作の間に稲作をかますということ

土作りをせずに強い肥料で無理くり栽培までもっていたとか、作物の旬を考慮しない栽培が終わった後や、過度な連作の後は客土で川砂を入れる意義再び次作は畑作ではなく水田をかませという話をよく聞く。畑作の連作で土壌の酸化が進んで排水性等が向上していたかもしれないけれども、それらのメリットを犠牲にしてでも水田をやるべきだと言う。メリットは大きく3つで1つ目は残留した強い生理的酸性肥料を水田に水を入出することで濃度を下げること生理的酸性肥料って何?速効性の窒素分とし

 

バリダマイシンA再び

酵母とトレハロースで菌の細胞内でのトレハロースの働きについて触れた。トレハロースは菌が高ストレス環境におかれた際に、細胞内でトレハロースを急ピッチで合成する。トレハロースはエネルギー源であるグルコース(ブドウ糖)をつなげて、安定な形(エネルギー源として利用しないということ)にし、高ストレス環境で生理的に重要な酵素等のタンパクの不活性に対して、タンパクの間に入り込んで安定な状態にする。という働きがあった。菌が高ストレス環境から抜けるとトレハロースは速

 

クチクラ層は何からできている?

一般展着剤の界面活性展着剤の話題の時にクチクラ層という名称が何度も挙がった。クチクラ層というのは植物系の教科書ではワックス層と表現されることが多く、ワックスの特徴で撥水性ということになる。界面活性作用を持つ展着剤を使用すると、クチクラ層の持つ撥水性は幾分緩和されるわけだけれども、そもそもクチクラ層は何の物質で構成されているか?という話題がほとんど挙がらない。学部と院のどちらも植物系だったにも関わらず、ふと思い返してみるとクチクラ層がなんであるか?ということは一

 

一般展着剤の界面活性

前回の展着剤とは何だろうで残った話題の一般展着剤だけれども、界面活性を利用して葉表面にある水を弾く性質を弱めて薬効のある成分が溶けている水分を長いあいだ留めておくようにする。今回はこの界面活性について見ていくことにしよう。界面活性といえば洗剤で利用される現象で、ミセル形成を見ておくと良いだろう。界面活性に関与する物質の特徴は、片方は疎水性を持ち、もう片方は親水性を持つもので、この特徴を持つ物質が水の中に大量に投入すると、こんな感じで疎水性を内側に向けるようにして

 

展着剤とは何だろう

食酢の農薬的な使用の際には展着剤を前回の記事で植物の葉の表面にはクチクラ層というワックス層があって大半の液体は弾いてしまう。農薬や肥料分も水溶液なので一様に弾かれてしまう。※クチクラ層の特徴により一部例外あり散布した農薬が弾かれないように展着剤というものを併用すると良いというのが前回の内容だった。というわけで展着剤について見ていくことにする。展着剤の定義は下記の通り/*****************************************

 

食酢の農薬的な使用の際には展着剤を

食酢と重曹前回の食酢の農薬的な利用(アブラムシ等の防除)として利用する際は、展着剤を一緒に混ぜておかないと、アブラムシ等が食酢をかわして効果を発揮しないという話題が挙がった。展着剤というのは今までの農薬の使用でも何度も話題に挙がった(ブログでは紹介していない)ので、せっかくの機会なので展着剤に触れてみることにする。まず、展着剤に触れる前に植物の基本的な特徴に触れてみると、植物の葉を横から見て、葉の表面には水を弾くワックス層がある

 

食酢と重曹

菜園ナビ公式イベント『楽しく学ぼう!第2弾 in 関東』で基肥の話をしましたで、アース製薬の方が農薬についてのアレコレの話をされていたのですが、様々な人が知ってほしい非常に有用な情報でした。その中で特に印象的だったのが、食酢と重曹の農薬っぽい利用がある。食酢というのはCH3COOHで表される食用で利用できる酢酸である。重曹というのはNaHCO3でこれまたベーキングパウダーにも利用されるもの。酢酸は弱酸性を示し、重曹、食酢の病害防除&he

 

大多数を占める日和見菌の振る舞い

数年前、モーニングという漫画雑誌で『もやしもん(13)<完>』(石川 雅之)|講談社コミックプラス農学部を舞台とした農学漫画があった。農学部といっても酒造関係なので厳密にいうと農芸化学科だろう。主人公は地味ではあるけれども、菌を表紙のような形状で見ることが出来、コミュニケーションすることも出来るため、当然、こんなスキルを教授陣はほっとかないだろうと、入学早々、酒造系の研究室の教授にスカウトされ研究室に入り浸るという異例の展開を繰り広げる。こ

 

農薬の開発と病原菌の耐性獲得、再び農薬の開発へ

酸アミド系殺菌剤ペンチオピラドを含め、殺菌剤の開発者と使用者の話を見聞きしていると話題に挙がりやすいのが、せっかく効きの良い殺菌剤が販売されたのに、病原菌が耐性を獲得して効かなくなった。耐性菌に対して新たな殺菌剤が開発され市販されても、また新たな耐性菌が現れ効かなくなったというもの。これを聞いて思ったのだけれども、効きの良い殺菌剤が市販される→みんな使い始める→過剰に使う(乱用する)人が現れる地域のとあるほ場で耐性菌が現れる※過剰な選択圧は耐性

 

酸アミド系殺菌剤ペンチオピラド

2年前に京都市内の某所で、発生してしまったら止めることの出来ないと考えられていた黒腐れ菌核病を肥料と農薬の組み合わせて侵攻を止めた話があった。京都市内で起こったすごいこと侵攻を止めた背景に黒腐れ菌核病の原因菌である糸状菌が低いpHで活発になるという情報があったため、生理的塩基性肥料を用いて土壌のpHを高めて原因菌を苦手な環境に追い込み、弱体化したところでペンチオピラドという殺菌剤を使用して伝染を止めた。最近も有効成分がペンチオピラドの農薬の話題がちらほらと挙がるので、ペンチオ

 

バリダマイシンAのポテンシャル

前回挙げたバリダマイシンAというトレハロースの分解阻害の農薬だけど、先日、とある農薬会社のサイトで興味深い記述を見つけた。バリダマイシンAという殺菌剤今回はその記述を紹介する。先日、対軟腐病の記事で植物自身の免疫を刺激することができるプラントアクティベータという農薬の話題が挙がり、プラントアクティベータの作用があるものとしてプロベナゾールが挙がった。防御の植物ホルモン、サリチル酸プロベナゾールの推定作用点を見るとDr.(ドクター)岩田の

 

バリダマイシンAという殺菌剤

最近よく聞く農薬でバリダマイシンAというものがある。ネギやニラといった地上部だけカット収穫して、根を残して再生したところで再び収穫するような作物で、カット収穫後に消毒という意味合いとして使用するという話をよく聞く。話題に挙がったら可能な限り調べておくのが当サイトの方針なので、今回も例外なくバリダマイシンAを調べておく。はじめに構造を見ておくと、バリダマイシンA Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省より引用3個の六炭糖が炭素-窒素結合?とグリコシド結合

 

殺菌剤の標的とSH酵素阻害

マンゼブ Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省より引用前回の亜鉛を含む農薬の作用をI-W系列から考えてみるで亜鉛を含むマンゼブという農薬を見て、実際の作用の話に入る前に金属酵素全般の話を書いた。マンゼブの作用を改めて記載すると、ジチオカーバメート系の殺菌剤であり、SH酵素や金属酵素を阻害することにより殺菌活性を有すると考えられているということだった。とりあえず、SH酵素阻害から触れてみることにする。SH酵素阻害と言えば、銅を含んだ農薬のボルドー液

 

亜鉛を含む農薬の作用をI-W系列から考えてみる

先日、マンゼブという農薬の成分の話題になった。マンゼブというのは、マンゼブ Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省より引用分子式が(C4H6MnN2S4)xZnyで表されるマンガン(Mn)、硫黄(S)と亜鉛(Zn)を含んだ化合物である。分子式をざっくりと見たところ、亜鉛(Zn)が遊離してイオン化しやすいだろうと予想している。作用機構を見ると、ジチオカーバメート系の殺菌剤であり、SH酵素や金属酵素を阻害することにより殺菌活性を有すると考えられている。金属

 

抗生物質ストレプトマイシン

放線菌と協働して軟腐病を減らすまでの記事で放線菌が放出する抗生物質の話題には触れてきたけれども、抗生物質そのものには触れていない。というわけでそろそろ放線菌から初めて発見、抽出されたストレプトマイシンという抗生物質を見ることにする。By NEUROtiker ⇌ - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, LinkストレプトマイシンをWikipediaから抜粋すると、/***************************************

 

放線菌と協働して軟腐病を減らす

菌と細菌についてまでの話題を経て触れたかった問題として、軟腐病の蔓延を阻止したいというものだった。軟腐病菌はグラム陰性の通性嫌気性の細胞で、増殖が速く?、有効な殺菌剤がないとされている。通性嫌気性とは?今までの記事で軟腐病の被害を減らすために植物本来備えている免疫作用を刺激して、感染時に備えることで被害を減らすという手が有効らしいということがあった。軟腐病菌の侵攻を止めるには?防御を強化してから、感染時に殺菌剤で対応する。そうすれば、確度は相当

 

菌と細菌について

良い土の匂いは放線菌によるもの?で放線菌の話に触れた。有機農業では放線菌の活発な土壌は良い土壌という認識があって、確かに放線菌は、・好気性環境(酸素多め)で活発になりやすい・カビ(菌)の外殻であるキチン質を積極的に分解する酵素を分泌する・細菌に効く抗生物質を合成するものがいるといった特徴があり、作物にとって栽培しやすい条件で増殖しつつ、一部の土壌微生物が過剰に増殖することを防ぐ役割を果たすように見える。それを踏まえた上で、再び放線菌の説明を読むと、放線菌はグラム陽性の真

 

良い土の匂いは放線菌によるもの?

師のところで栽培を学んでいる時、事務所を開放して栽培者向けの勉強会を開催したことがある。紅土と黒ボクを見て思い出す師の言葉招いた先生から下記のような事を教えていただいた。良い土の土の匂いは放線菌によるもので…(以下略)この話は後にも時々見聞きするものだった。更に農薬の話でもちょくちょく放線菌は登場する。というわけで、今ここで放線菌について見ておくことにする。まずはWikipediaから放線菌の文章を抜粋してみると、/*****

 

軟腐病菌の侵攻を止めるには?

前回までの記事で、栽培者にとって非常に厄介な軟腐病菌の生理的特徴を確認した。通性嫌気性とは?次に知るべきことは、軟腐病菌が寄生先の植物に侵入する際の武器(酵素)を止める手段を植物側が持っているかどうか?だ。具体的には侵入用の酵素を阻害する物質が存在しているかどうか?対軟腐病軟腐病菌が植物を攻撃する際に使用する酵素はペクチナーゼと呼び、植物の細胞壁同士を結合させているペクチンという多糖類で、ペクチナーゼは植物のペクチンを溶かす(分解する)ことによって寄生先の植物の細胞壁

 

グラム陰性の細菌とは?

前回の対軟腐病で(ネギの)軟腐病の原因菌を調べた。結果は下記の通り、細菌名はエルビニア・カロトボーラで、グラム陰性の通性嫌気性の細菌である。ペクチナーゼという酵素を使って寄生した植物の細胞壁を弱体化させながら侵入する。病気を調べると菌と細菌という文字をよく見かけるけど、菌と細菌の違いはなんぞや?という疑問は一旦置いといて、細菌は菌よりも細胞がシンプルで、増殖速めという前提で話を進める。さて、細菌名とちょっとした特徴を得たところで、最初の鍵であるグラム陰性という用語を見てみ

 

対軟腐病

先日の肥料講習会での質疑応答で京都農販の木村が返答した内容が非常に印象に残った。京都市肥料講習会で基肥と予防の話をしました質問内容は毎年ネギの黒ぐされ病に悩まされている。一度発生してしまったら、農薬はほとんど効かず、全滅を覚悟しなければならない。何か良い手はないか?それに対しての返答として、微生物全般を学び、微生物には得意な環境でなければ増殖出来ないルールがあることを知りました。黒ぐされ菌核病の原因菌を畑に入れないことはもちろん大事なのですが、入ってし

 

アミノ酸、タンパク質と生命活動の化学

最近、アミノ酸について調べているわけで、アミノ酸の話題に触れていると普通に出てくるのが側鎖の構造で、タンパク合成の材料となるアミノ酸を集めただけでも20種類あって、20種類分の側鎖を覚えるのは定期テストでもない限り難しい。次によく出てくる話題は、アミノ酸によって中性であるか?酸性であるか?塩基性であるか?という水に溶けた時のpHの話で、ここらへんの解釈は農学で生化学を受講した時や、細胞学でタンパクの合成を学んだ時には話題に挙がらない。どうにか簡単にイメ

 

防御の基礎は芳香族のアミノ酸にあり

防御の植物ホルモン、サリチル酸で植物ホルモンのサリチル酸はフェニルアラニンというアミノ酸か、コリスミ酸から生合成されると記載した。元々、サリチル酸の生合成を調べるきっかけになったのが、とある本でチロシンというアミノ酸からサリチル酸が生合成されるという内容を読んだからで、今回はチロシンとフェニルアラニンというアミノ酸を調べたくなった。By Benjah-bmm27 パブリック・ドメイン, Linkチロシン - WikipediaチロシンはR(側鎖)がHO-ベンゼン環

 

防御の植物ホルモン、サリチル酸

前回の記事で、アミノ酸の一種であるチロシンに酸素を加えてちょこっと反応を続けるとサリチル酸という物質になる。このサリチル酸というのは植物ホルモンの一種である。という内容を記載した。個々のアミノ酸は植物にどのような効果をもたらすのか?このサリチル酸の作用を調べれば、植物においてチロシンというアミノ酸がどのような作用であるか?を理解することができるはず。By Image:Aspirin-skeletal.svg originally by Benjah-b

 

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液2

植物は銅を何に活用するか?までで銅は酸化還元やリグニンの合成あたりで働くという事を記載した。それを踏まえた上で硫酸銅のボルドー液について改めて見てみたい。農薬のボルドー液の作用点をWikipediaから抜粋すると、/************************************************/殺菌効果ボルドー液の殺菌効果は、銅イオンがスルフヒドリル酵素を酸化する事によるチオール(SH)阻害であり、病原糸状菌のみならず病原細菌にも有効である。また、耐性菌

 

植物は銅を何に活用するか?

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液で(おそらく)胆礬と石灰岩を燃焼させたものでボルドー液という農薬を作成したことを記載した。で、今回はボルドー液の機能を記載しようと思ったがその前に植物にとって銅は微量要素の肥料成分として捉えられているので、植物体内で銅がどのような働きをするのか?を見てみたい。JAの営農のハンドブックを開いてみると、銅(Cu)は下記のように記載されていたおもな吸収形態:Cu+、Cu2+おもな生理作用:1. チトクロームa、アスコルビン酸酸化酵素、チロシ

 

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液

太古の生物は酸素によって現れた銅を活用したで生物にとっての銅というものの重要性を再認識した。いや、作物の肥料の微量要素としてなかなか銅は話題が上がらないのであまり気にしていなかったという方が正しい。そんな作物と銅だけど、近代農薬の歴史において、初期に現れたボルドー液というものが、硫酸銅を主として製造された農薬で、銅のもつ「破壊と創造」というものが病原性微生物には防除として効いて、作物にはサプリ的要素として効くらしい。ということでせっかくの機会なので、ボルドー液について調べてみ

 

乾燥ストレスから再び牛糞堆肥による土作りの価値を問う

小さな乾燥ストレスの積み重ね前回までの乾燥ストレスと虫による食害の話をまとめると、虫はおそらくプロリンを欲しがっている。植物はプロリンを合成するトリガーとして乾燥ストレス(or 高塩ストレス)がある。保水性・排水性を高めることで、葉内のプロリンの高濃度蓄積は避けられるはずで、虫の食害を減らすことができるのではないか?前回までは乾燥ストレスを見ていたけれども、今回は高塩ストレスを見ていく。高塩ストレスというのは土壌分析におけるECの値のことで、前作の水溶性の肥料

 

施肥設計の見直しで農薬防除の回数は確実に減らせる

顧問として関わっている京都農販のほ場で信じられない光景を見た。それは、旬でない時期のネギにも関わらず、農薬による防除が1回で収穫まで行き着いたことだ!この防除一回というのは、アザミウマという虫による食害を回避するためのもの。病気に対しての農薬の使用は一切行っていない。この話の何がすごいのか?を伝えるために、ネギの栽培の一般的な話をしよう。ちなみに匠レベルにまで到達した有機栽培の土であっても、旬でない時期の作物の栽培を農薬なしで栽培するのは難しいだろ

 

グリホサート耐性を獲得する

/** Geminiが自動生成した概要 **/
グリホサートは、植物の必須酵素EPSPSを阻害する除草剤です。しかし、遺伝子組み換えにより、グリホサートを分解する酵素GOXを持つ、あるいはグリホサートが結合しない変異型EPSPSを持つ作物が作られました。前者が主流です。自然界でも同様の変異が起こっており、除草剤が効かない雑草の出現の原因となっています。これは、土壌細菌との遺伝子交換による可能性も示唆されています。

 

グリホサートは植物体内の何を潰す?

/** Geminiが自動生成した概要 **/
グリホサートは除草剤ラウンドアップの有効成分で、植物体内の酵素EPSPSを阻害することで除草効果を発揮します。EPSPSは植物ホルモンやアミノ酸合成の初期段階に関わる重要な酵素で、グリホサートによってこの働きが阻害されると植物は生育に必要な物質を合成できなくなり、枯れてしまいます。次の記事では、このグリホサートへの耐性を植物がどのように獲得するかについて解説されています。

 

ラウンドアップという除草剤の今後は?

有効成分がグリホサートイソプロピルアミン塩という除草剤がある。ホームセンターでよく見る農薬の一つラウンドアップという名前で売られていることが多い。非選択性といわれる、全植物を即座に枯らす除草剤として扱われている。ラウンドアップ - Wikipedia植物特有の器官にダメージを与え、更に速攻で分解される成分であるため、安全性の高い農薬とされている。このラウンドアップですが、安全性に関する論文を色々と探してみたら、下記の様なものがあった。Glyphosate&rsqu

 

非殺虫性のBTは人の癌細胞を選択的に破壊する

BT剤という名の生物農薬で枯草菌の仲間のバチルス・チューリンゲンシスという細菌が生成する結晶性タンパクは、鱗翅目等の昆虫に摂取されると、摂取した昆虫を死に追いやるという内容を記載した。このBTなんだけど、色々と調べていたら九州大学で興味深いテーマの論文が発表されていた。Cytocidal Actions of Parasporin-2, an Anti-tumor Crystal Toxin from Bacillus thuringiensisざっくりと書くと、非殺虫性のバチル

 

オーガニックとGMO、突き詰めると同じことが起こってる

アブラナ科作物の葉の上でイモムシはミイラになって死んでいた先日記載した葉物野菜の葉の上でイモムシがミイラになって死んでいた。畝間にもイモムシの死体がゴロゴロしていたという話※この写真はイメージですここは農薬を使用せずに栽培をしている畑(オーガニック)で、たくさんの箇所で様々な種類の野菜で同様の現象が発生していた。症状はBT剤を使用した時と同じ様なもので、作物自身が殺虫性のある結晶性タンパクを持っていた可能性が高い。BT剤という名の生物農薬

 

BT剤という名の生物農薬

農学の学部で受講するレベルの説明になるけど、BT剤というのはバチルス・チューリンゲンシスという枯草菌の仲間が合成する殺虫性の結晶性タンパク質を抽出したものを指す。BTというのは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の頭文字をとってそう読んでいる。蝶(チョウ)や蛾(ガ)といった鱗翅目の昆虫がこのタンパクを摂取すると、アブラナ科作物の葉の上でイモムシはミイラになって死んでいたこんな感じで干からびて死ぬとのこと。※食欲の低


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