前回までの乾燥ストレスと虫による食害の話をまとめると、虫はおそらくプロリンを欲しがっている。
植物はプロリンを合成するトリガーとして乾燥ストレス(or 高塩ストレス)がある。
保水性・排水性を高めることで、葉内のプロリンの高濃度蓄積は避けられるはずで、虫の食害を減らすことができるのではないか?
前回までは乾燥ストレスを見ていたけれども、今回は高塩ストレスを見ていく。
高塩ストレスというのは土壌分析におけるECの値のことで、前作の水溶性の肥料が土壌に残っているか?の指標となり、
ECの値が高いと、
根周辺の浸透圧の問題で、土壌中に水があっても植物が適切に水を吸えない状態となる。
高塩ストレスは水があったとしても乾燥ストレスと同様の現象となる。
根から水が吸えないのであれば、葉の浸透圧を高めて、葉の水ポテンシャルで一気に土壌中の水を吸い上げてしまえということで、葉にたくさんのプロリンを蓄えるのだろう。
ECを高くする要因として、真っ先に挙がるものが、
牛糞堆肥による土作りだろう。
牛糞堆肥は少ない腐植と、完熟であればあるほど蓄積される硝酸態窒素。
更には動物の排便に含まれる塩分があり、腐植の量に対して、塩が多すぎる。
更にプロリン(前駆体がグルタミン)等を合成するための硝酸根をたくさん含むため、乾燥ストレスを上手に乗り切るための材料が多く含んでいるため、徐々にECが高まったとしても健全なように見せかける条件すら持っている。
よく、
窒素バカ効き状態では作物に虫が寄り付く。
家畜糞堆肥の過剰施用は虫を寄せ付ける。
という話がある。
これって、
硝酸態窒素 + αによる高塩ストレスがちょうど良い条件で虫を引きつける環境を作っていたのだろうなと。
今までは虫はグルタミン酸に引き付けられているのでは?と考えていたけれども、乾燥ストレスの事を視野に入れたら、もっと直接的に虫を引き付けていたのだろうと考えを改めるきっかけとなった。
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