真菌は無機窒素を利用するか?の記事で、真菌のトリコデルマは無機窒素を直接利用出来るという内容にたどり着いた。
ここで気になるのは、トリコデルマが無機窒素を直接利用出来る酵素を持つのであれば、競合するシイタケ菌はどうなのか?だ。
この内容に関して、シイタケ菌と無機窒素で何らかの研究報告があるか?を調べてみたところ、古い論文ではあるが、盛永宏太郎著 - シイタケ菌糸のアミノ酸要求について(掲載雑誌や掲載日は不明)で下記のような記載があった。
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シイタケ菌糸の生育にアンモニウム態がわずかに有効であるが,アミノ酸と較べてはるかに劣った。
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シイタケ菌はアンモニウム態窒素を利用できる可能性はあるが、利用は得意そうではない。
これはおそらく無機窒素関連の酵素の発現量が少ないということだろう。
トリコデルマは有機態窒素と無機窒素の両方を使えるはずだから、シイタケ菌とトリコデルマが競合している培地に無機窒素を添加したらトリコデルマが優勢になるのは納得できた。
どうやらこの特徴は食用キノコの白色腐朽菌全般で言える事ではなさそうで、エノキダケの菌は無機窒素の扱いが比較的得意であるようだ。