ビール酵母由来の肥料の効果を改めて考えてみたの記事でビール酵母由来の肥料についての可能性について触れた。


前回の締めでビール酵母を水熱処理して製造した肥料には二価鉄の肥効 + 還元剤 + 発根剤としての肥効があるという内容を記載したが、今回は更に深入りしてみることにする。




ビール酵母由来の肥料を開発された方から、Hydrothermal treatment of yeast cell wall generates potent anti-proliferative agents targeting MCF7 breast cancer cells effectively even under culture conditions separated by a plastic wall | PLOS Oneを教えて頂いた。


この報告には活性炭素種(Reactive Carbon Species:RCSと略す)という活性酸素のような働きをする反応性種と内容が記載されている。


RCSだけれとも、水熱処理した酵母の細胞壁(yeast cell wall:YCW)と鉄を混ぜると発生が活発になるそうで、Fe(Ⅲ)※でより多くのRCSが発生したそうだ。

※論文中では硫化鉄(Ⅲ)を加えていた。

※比較として、硫化鉄(Ⅱ)と混ぜていたが、Fe(Ⅱ)と比較してFe(Ⅲ)の方が3倍近くのRCSが発生していた


今回は詳しくは触れないが、発生したRCSを植物に散布すると生産性の向上に繋がるという報告がある。

ビール酵母資材で稲作に変革 環境負荷の大幅低減と生産性向上に寄与するアサヒバイオサイクルの農業イノベーションとは? - 日経ビジネス電子版 Special


この話で興味深いのが、RCSの発生源が水熱処理により生成された酵母細胞壁の断片である還元性のあるβ-グルカンで、β-グルカンとFe(Ⅲ)を反応させることで、RCSとFe(Ⅱ)※が生成され、細胞壁にある何らかの要素でFe(Ⅱ)がキレート化していて安定化している可能性があるそうだ。

※ Fe(Ⅱ)は肥料関連では二価鉄と呼ばれている


これは、二価鉄の葉面散布剤が欲しい場合は、ビール酵母由来の肥料に


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使い捨てカイロ等の錆びた鉄粉を加えれば、比較的安定した形の二価鉄がすぐに手に入るということだ。

米ぬか嫌気ボカシ肥の発酵に使用済み使い捨てカイロを添加したらどうなるか?


しかも、生育を促進する物質(RCS)のおまけつきで。


RCSを散布する事で得られる効果に抜けがないか、もう少し丁寧に見ていく必要がありそうだ。