佐賀のハウスミカンの栽培者の方向けに塩類集積等の話をしましたの後に栽培の様子を見に行った。
ハウス内で下記のような話題が挙がった。
最近、ミカンの落ち葉が土に還るまでの時間が遅くなっているように感じる。
その中で更に不調の木からの落ち葉は
白っぽいものが多くなっている。
調子の良い木であれば、
こんな感じで褐色になっている。
なぜ、落ち葉は土に還りにくくなったのだろう?
なぜ、落ち葉の色が白くなってしまったのだろう。
この疑問に対する解答として、
共立出版から発売されている基礎から学べる菌類生態学や
ベレ出版から発売されている生き物はどのように土にかえるのか(共に著者が大園享司氏)の本で今回の問題の解決策になるような記述があった。
最初に着目すべき点は落ち葉の色だけれども、
リグニンの分解に関与する白色腐朽菌の記事で落ち葉の繊維はセルロース、ヘミセルロースとリグニンで構成されていると記述した。
諸々の物質には色があって、セルロースは白色で、リグニンは褐色となる。
リグニンの分解が活発で落ち葉が白っぽくなることを漂白を呼ぶ。
※褐色のリグニンが減り、白色のセルロースが残るため
となると、
調子の悪い木からの落ち葉が白くなるという現象は、リグニンが積極的に分解されたから?ということが考えられるけれども、
その前の話として最近は落ち葉が土に還りにくいという状態で、落ち葉が土に還るというのがリグニンの分解によるものが大きいので、リグニンが積極的に分解されたから漂白が生じたとは考えにくい。
となると、調子の悪い木の落ち葉が漂白状態なのは、もともと落ち葉にリグニンが少なかったからだと言える。
となると、見るべきポイントはリグニンの合成に関わるアミノ酸と金属酵素たちだ。
リグニンの合成に関与するのは光合成にとって必要な主要な金属酵素はもちろん必要だけれども、リグニン合成に直接関与する金属酵素と言えば、銅、マンガンや鉄等の微量要素となる。
ここで更に注目すべきは、I-W系列により銅は結合力が高く、何かと使いにくいということ
銅が頭に浮かんだので、もしかして銅欠乏ではないでしょうか?と伝えると、
以前、地域の栽培指導員の方からマグネシウムか銅が欠乏しているかもしれないと伝えられたらしい。
不調な株は銅がうまく吸収できていないのか?
それともこの土の銅が不足、もしくは吸収しにくい状態にあるのか?
もし後者であれば、冒頭の話題に挙がったミカンの落ち葉が土に還るまでの時間が長くなった気がするというものも銅欠乏に依るものだと判断できる。
前者であればミカンの細根を増やすための環境を整備し、後者であれば銅を吸収しやすい環境、もしくは銅を補給する必要がある。
例えば、銅は石灰過剰な環境では不溶化し植物は銅を吸収することができなくなる。
※ここでいう石灰はpH調整のための消石灰等
ミカンの栽培指針によると、ミカンは石灰を好む書かれることが多いので、石灰を多く使用する傾向があるらしい。
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