堆肥の使用の際に粘土鉱物を使用するが、
何故ゼオライトではなくベントナイト(モンモリロナイト)を推しているのは?という話題になった。
※今回の記事はベントナイトは主にモンモリロナイトで構成され、ゼオライトは沸石ということになっているが、ベントナイトの説明でよく記載されている火山灰が変性作用によって形成されたものが多いということをイメージして投稿している。
※朝倉書店 粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版によるとベントナイトの方はスメクタイトとして扱われているもの
鉱物系肥料として見ると、
一般的にゼオライトの方がCECが高くパフォーマンスが良いと言われているので、モンモリロナイトを入れても期待するような効果は少ないと。
※厳密にいうとゼオライトは粘土鉱物として扱われていないが、便宜上粘土鉱物肥料とする
ここで一つ問いたい。
鉱物系の肥料は何故入れるか?
先に粘土鉱物を使用する目的を記載しておくと、
粘土鉱物の持つ吸着性が腐植等の有機物を捉えて、土壌改良の時間を短縮することを狙っている。
上記の内容を踏まえた上で一つは高い吸着性(保肥力:CEC)を確保するためで、これはゼオライトが勝る。
他にもう一点重要な要素があって、粘土鉱物以外に含まれている微量要素だろう。
例えば、京都農販の主力商品であるモンモリロナイトの裏を見ると
主な成分の含有量で鉄、石灰、苦土、カリやマンガン等の金属系の肥料成分が含まれている。しかも溶けにくい形状で含まれている。
一般的な傾向として、ゼオライトよりもモンモリロナイトの方がCECが低い分、上記のような金属系の肥料成分が多い傾向にあり、昨今の劣化土壌では有効な解決策になりやすい。
年々栽培が難しくなっている方の土壌を見ると、カリウムを入れるだけで症状が幾分解決している傾向から、劣化土壌だと判断出来て、この手の土壌であれば、ゼオライトよりもモンモリロナイトの方が有効である可能性が非常に高い。
※採掘地によって粘土鉱物肥料としての成分が若干異なるので一概にはいえない。
話は戻って、粘土鉱物のCECだけれども、
ゼオライトの方がCECが高いと記載したけれども、ここにも一点程注意が必要で、極論にはなるが化学組成の面で、灰長石→モンモリロナイト→ゼオライトのようなもの→カオリナイトのような反応がある。
※→は風化等の作用
カオリナイトのCECはゼオライトよりも1 / 15程度少ないもので、
上の反応を見ると、CECが低いモンモリロナイトは粘土鉱物の劣化においてゼオライトよりも長持ちすることがわかる。
投入した粘土鉱物の肥料が劣化でどうしようもなくなる前に腐植と結合して土となれば、理論上劣化は起こりにくくなる。
劣化の観点を整理すると、
CECの低いモンモリロナイトの方が使い勝手の良い粘土鉱物となる。
最後に価格の面を見ると、一般的にモンモリロナイトよりもゼオライトの方が高い傾向にある。
CEC、微量要素と価格の面から見て、モンモリロナイトではなく、ゼオライトを使用する意義が見当たらない。
だから、モンモリロナイトの方を推している。
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