ビニールマルチで土を覆って栽培をして、収穫後にビニールマルチを剥がしてみると、土がパサパサしている。
これは栽培中に地温が上昇し、土の有機物の消費量が上昇したからだろう。
パサパサしているというのは、団粒化していたものも無くなっている可能性がある。
この現象は太陽熱土壌消毒(太陽熱養生)でも同様に起こっているのでは?と思っている。
そのために太陽熱土壌消毒の前に中熟堆肥を入れるのだろうと言いたくなるだろうが、言いたいのはそこではない。
気にしているのは、太陽熱によって地温を上昇させる事により、土に含まれる鉱物の風化を加速させているのでは?ということだ。
もし、鉱物の風化を加速させているのであれば、太陽熱土壌消毒一年目且つ赤黄色土でなければ、土壌中にある金属要素の肥料の溶脱を早め、その後の栽培では成長が促進したように見えるようになる。
※鉱物の風化に関しては造岩鉱物の理解を深めるためにケイ酸についてを学ぶから造岩鉱物の成れの果てまでの記事に記載がある
ただ、それだと菌根菌の栽培で見たような地力の前借りと同じ事であるわけで、深刻な連作障害に陥るまでの期間が早くなるだけだ。
であれば、太陽熱土壌消毒後の効果は年々低下すると予想出来る。
※太陽熱土壌消毒をしたら、悪い菌は死滅し、良い菌は生き残るのか?で記載した病原性の細菌の潜伏も含む
土壌中の鉱物の風化を早めると何故問題なのか?について整理していく。
例えば、
黒雲母という鉱物がある。
この鉱物は畑の土に普通にある鉱物だ。
この黒雲母は風化すると、植物にカリウム等を供給しつつ、2:1型粘土鉱物のバーミキュライトになる。
※土壌中には黒雲母のように植物に様々な肥料成分(マグネシウム、鉄や亜鉛等)を供給する鉱物がたくさんある。
バーミキュライトは更に風化することで、1:1型粘土鉱物のカオリナイトになる。
このカオリナイトが更に風化すると、
化学組成がAl(OH)3の水酸化アルミニウムの鉱物(ギブサイト)になる。
途中のバーミキュライトは2:1型粘土鉱物であるため、保肥力を高める要因に成りつつ、土壌中で有機物を蓄積させる要因になるが、その後のカオリナイトやギブサイトにはこれらの効果は期待できない。
まとめると、鉱物が風化すると、
植物に肥料成分を供給 → 保肥力・有機物蓄積能の増加 → 保肥力・有機物蓄積能の低下 → 土が締まる
のような反応になり、この一連の過程を土壌の劣化とする。
この一連の過程を早める要因の一つに人為的な地温の上昇があるので、太陽熱土壌消毒は土壌の劣化を加速させる可能性が高いと判断している。
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