前回、佐賀のハウスミカンの木の根元で、分解中のミカンの葉が紫色になっているものを見かけた。
紫色になるということに何らかのノウハウがあるような気がしたので、紫色になるという現象を追ってみることにした。
前回の記事では記載しなかったけれども、何故、分解中の葉が紫色になることにノウハウがあるような気がしたか?というと、以前、分解中のミカンの葉が白色になるということがあり、その時たまたま読んでいた本から漂白化と微量要素欠乏が関連しそうだったため。
植物の葉が紫色になる現象を思い浮かべてみると、リン酸欠乏によるアントシアンの合成と蓄積が考えられる。
この葉はアントシアンに依るのものなのか?
という疑問は一旦置いといて、結論として関連しないかもしれないけれども、リン酸周りについて見ていくことにする。
作物体内でリン酸が主に使われているところを挙げると、DNAやRNAといった遺伝情報と
細胞膜を構成するリン脂質だろう。
今挙げた遺伝情報と細胞膜はどちらもすべての生物に言えることで、それ故、リン酸は超重要な要素であると言える。
超重要であるにも関わらず、リン酸(PO43-)は土壌中のアルミニウムや鉄と結合しやすく難溶性で根から吸収しにくいものになりやすい。
土壌中にはアルミニウムや鉄は豊富に含まれている為、地域によっては作物はリン酸欠乏になりやすい。
リン酸欠乏について更に調べてみたら興味深い論文に辿り着いた。
その論文というのが、リン酸欠乏時における膜脂質合成系の代謝変動と植物ホルモンによる制御 植物の機能制御に向けた研究の最先端 Vol.78, No. 10, 2004になる。
古い論文ではあるが、この論文に記載されていた内容として、シロイヌナズナにおいてリン酸欠乏になった際に葉緑素のような色素体の膜で代替するようにモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)やジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)の増加が見られた。
発根や脇芽の成長に関与するオーキシンとサイトカイニンが発根促進の方に優位になっている。
リン酸欠乏時には葉の形成よりも発根促進を優先したい為に、アントシアンによって光合成を抑えたいのかもしれないなと。