水田の基肥の代替としての鶏糞の記事で水田の基肥の代替として鶏糞が挙がっているという内容を記載した。
この話で真っ先に頭に浮かんだのが、
とある稲作農家が鶏糞は極力熟成が進んでいないものが欲しいと言ったことだ。
とはいえ、排出したての生糞は外に持ち出せないので、一次発酵処理を終えたものだ。
鶏糞は熟成する程、アンモニア態窒素が減り、硝酸態窒素が増えるという特徴があり、イネは硝酸態窒素よりアンモニア態窒素を好むので、とある稲作農家の発言は短絡的に見たら正しいと言える。
ただ、鶏糞は特殊肥料であるので、主の肥効以外にも副作用のような肥効も発現する可能性がある。
ここらへんが、稲作で一次発酵処理直後の鶏糞を基肥で用いて良いか?悩みどころ。
熟成が進んだ方の鶏糞も硝酸態窒素が多くなっていて、これまた水田では酸化還元電位の観点から気をつけなければいけない要素なので、それはそれで悩みどころ。
先に硝酸態窒素の方に触れておくと、水田に施肥すると鶏糞に含まれる硝酸塩が硝酸イオンになる。
この硝酸イオンは稲作では還元を受けやすい方に分類され、
硝酸イオン → 窒素ガスや一酸化二窒素
の反応が発生する。
一酸化二窒素は地球温暖化係数で、二酸化炭素(1)やメタン(25)よりも遥かに数値(298)が高い要素であり、鉄よりも還元されやすい為、鉄の肥効が後ろ倒しになってしまう。
こう見ると、熟成が進んでいない一次発酵直後の鶏糞の方が稲作に向いているように見えてくるが、一次発酵の方には、臭いの成分が残っている。
ここらへんが稲作にどのような影響を与えるのか?は把握しておかないと、今回の問の返答はできない。
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