中干し無しの稲作でリン酸第二鉄を組み込むべきか?の記事にちょっと関連すること。
ジャンボタニシの防除として散布するリン酸第二鉄の残りは土壌の微生物の作用によって消費される。
その際に鉄が土壌に還元されるわけだけれども、それに関連して頭に浮かんだことがある。
東南アジアの稲作事情を聞いたの記事で触れたけれども、田に水を張りっぱなしにすると、二酸化炭素よりも強烈な温室効果ガスであるメタンと一酸化二窒素が生成される。
他に懸念される事として、硫酸根を嫌気環境下にすると硫酸から生成される硫化水素がある。
メタンは有機物から生成された有機酸由来のアルコールを嫌気環境下でメタン菌によって還元されることで生成される。
一酸化二窒素と硫化水素は硝酸塩や硫酸塩が還元されることで生成される。
還元というのは電子を受け取る事であり、
水を張った田のような酸素が少ないところで有機物を代謝する時に出てくる電子が使われる。
電子を受け取るのは先程挙げたもの以外でも酸化鉄という手もある。
硫酸塩や硝酸塩は施肥設計次第なので、施肥を見直せば一酸化ニ窒素や硫化水素といった厄介なガスの発生は制御出来る。
問題はメタンの方で、メタンの発生の要因が土作りの際に大量に投入される植物性の有機物(線維やリグニン等)由来で、秀品率の向上の為に絶対に欲しい要素である。
ここで久しぶりにメタン生成菌についてWikipediaのページを読み直してみたら、興味深い内容が記載されていた。
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効率は鉄細菌が特に優れており、電子受容体として鉄が存在する場合は鉄細菌が優占する。同様に硫酸イオンが存在する場合は硫酸還元菌が優占する。鉄も硫酸イオンも無い環境で、水素が豊富な環境で初めてメタン生成菌が増殖可能となる。ただし、細菌類、原虫とメタン生成菌が共生する場合はこの限りでない。
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酸化鉄があって、原虫(ゾウリムシやアメーバ等)が活発になりすぎていない環境であれば、メタン菌は優勢になれずメタンの生成は抑えられる事になる。
この内容を読んだ時に新たに頭に浮かんだ事として、
使い捨てカイロがある。
使用済みの使い捨てカイロには酸化された鉄と活性炭が入っているらしく、何かと都合が良い。
原虫は中干し無しの稲作で集まってきたオタマジャクシに食べてもらえば良い。
鉄還元細菌が活発になれば、温室効果ガスの排出を減らしつつ、水田土壌で新たに発見された窒素固定を行う細菌についての記事で記載したように空気中の窒素ガスの窒素固定が発生し、一部がイネの成長に利用される。
使い捨てカイロは名前に使い捨てとあるように産廃であるため、産廃の有効活用なアツい展開になりそうだ。
酸化鉄の鉄粉と活性炭は過剰症が発生しにくい(おそらくしない)というのも更に良い。