前回、補酵素というものに触れた。
補酵素には実際にどのようなものがあるのか?
イメージがつかみやすくするため、
普段よく効く肥料周りで関与している酵素と補酵素に触れてみよう。
過酸化石灰、
よく聞く名称としては酸素供給剤というものがある。
反応は最初に水に溶けることによって、
CaO2 + 2H2O → Ca(OH)2 + H2O2
過酸化石灰から水酸化カルシウム(消石灰)と過酸化水素が発生する。
この過酸化水素が
2H2O2 → O2 + 2H2O
カタラーゼという酵素によって酸素と水に変わる。
これは実際にどのような反応であるのか?
過酸化水素というのは電子が一つ多く、
電子の不安定さから触れたものを酸化する状態になっていて、
これこそが活性酸素としての働きとなる。
カタラーゼは過酸化水素を酸化、
つまりは電子を取り出すことによって非活性化する。
酵素 + 基質 + 補酵素の話に当てはめると、
酵素がカタラーゼ
基質が過酸化水素
補酵素が過酸化水素を酸化した際に得た電子を受け取るもの
という構成になる。
ここでカタラーゼの補酵素を検索してみると、
ヘムとマンガンであるということがわかった。
ヘムと言えば、
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赤玉卵の色素の時に触れたプロトポルフェリンから合成されるもので、
ヘムの中心に何らかの金属が入り込むことによって
電子の運搬(鉄)であったり、受光アンテナ(マグネシウム)であったり、酸素の運搬(鉄)という機能を獲得する。
ヘムは硝酸からアミノレブリン酸経由で合成される。
マンガンも鉄同様電子を受け取ったり与えたりする特徴を持つ金属であるので、
カタラーゼがヘムやマンガンを補酵素として、
過酸化水素を酸化していることになる。
これらの話から、
酸素供給剤を使う時、マンガン欠乏では期待した結果にならない
ということがうっすらとイメージできるようになる。
オキシドールという消毒液を使う時も然り。
※オキシドールの主成分は過酸化水素