前回までの植物はいつプロリンを合成するのか?で、スズメハチは糖原性アミノ酸であるプロリンを蓄積することで長い間活動することができる。

そんなプロリンは植物が乾燥ストレス状態で乾燥に耐えうるために合成される。

という内容を記載した。


それを踏まえた上で、


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落ち葉の下からクローバ再び


溢泌液(いっぴつえき)に話を戻したい。


溢泌液は栽培者であれば、早朝の露地なりハウスなり行けば普通に見られる現象で、栽培しやすい土であっても塩類集積の土であっても観測することができる。

紅土と黒ボクを見て思い出す師の言葉

知らない間に溜まっている石灰


溢泌液について生態、生理と栽培の視点から各々ピックアップしてみると、まずは生態で、特に乾燥地で多いらしいが、溢泌液は昆虫らの水分補給として重宝している。


次に生理の話で、溢泌液を分泌の際に葉内のイオンで過剰なものの排出を行っている可能性がある。


最後に栽培の話で、葉の上で溢泌液が蒸散すると、白い粉が残ることが多々ある。

この白い粉の量を見て、肥料のあげ過ぎかどうかを判断できる。


これらを踏まえて、溢泌液には葉内の余剰な養分が溶けている可能性は十分に考えられるわけで、日中の乾燥ストレスの夜間の湿気に晒されるといった環境において、


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溢泌液の中にプロリンを多く含む状態が有り得るというわけだ。

そうなると、昆虫は水分補給 + αで、糖原性アミノ酸であるプロリンの摂取のタイミングとなるはず。


つまり、溢泌液こそが昆虫にとって、葉内に自身の餌が多量に含まれていることを知るタイミングであって、効率的に摂取できる葉であれば居着くということは十分に考えられる。


日中の局所的な乾燥状態。

これが栽培にとって大きな要因となっている気がしている。


-続く-