必須脂肪酸とは何か?の記事までで、脂肪酸の種類と必須脂肪酸というものがあるという事まで記載した。
必須脂肪酸とは人体内で合成出来ない多価不飽和脂肪酸のことで、植物由来の食用油から摂取する。
次に必須脂肪酸の働きを見たいところだけれども、そろそろ脂肪という用語に触れていくことにする。
一応学生の頃に栄養学らしき講義もあって、脂肪の事は栄養学では脂質という用語で話を進めるので、今後は脂質と表記する。
必須脂肪酸という用語があるということで、脂質 = 高カロリーのものを貯蔵というイメージだけではないことは安易に想像できる。
というわけで、脂質の働きを整理してみると、
・単純脂質
・複合脂質
・誘導脂質
の三種に分類されるそうだ。
※栄養の基本がわかる図解事典 - 成美堂出版 68ページを参照
単純脂質は中性脂肪を指し、エネルギーの貯蔵や臓器の保温やクッションのような役割を持つもので、いわゆる脂肪は中性脂肪を指す。
複合脂質は植物にとってのリン酸の記事で触れた細胞膜を構成するリン脂質や糖脂質がある。
誘導脂質はコレステロール等のステロール類がある。
これらの脂質の中で今回は中性脂肪をピックアップして話を進める。
中性脂肪はグリセリン脂肪酸エステルを指し、
※上の図ではグリセリン(グリセロール)1分子に対し、3個の飽和脂肪酸(炭素数が16のパルミチン酸)が付与されている
上の図のような構造をとる。
化学式では難しいので中性脂肪を簡易的に表した図は
※上の化学組成とは向きが逆になっていることに注意
のようになる。
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グリセリン(グリセロール)に付与される脂肪酸は必ず3個(トリアシルグリセロール)というわけではなく、1個(モノアシルグリセロール)や2個(ジアシルグリセロール)の場合もある。
グリセリンにどの脂肪酸が付与されるか?によって、構造や融点が異なってくる。
ちなみに中性脂肪の中性はグリセリンと脂肪酸が結びつくと中性になることが由来になるらしい。
中性脂肪は動物と植物のどちらにもあり、動物の方では飽和脂肪酸の割合が多く、植物の方では不飽和脂肪酸が多い。