今回は蛇紋岩土壌は植物にとって過酷な環境の続き。
蛇紋岩土壌が植物にとって過酷なのは、ニッケルがあることで、植物がニッケルを吸収すると鉄欠乏のような錯覚になり成長が阻害される。
鉄は光合成等の重要な機能に影響を与えるので、上記の内容であれば蛇紋岩土壌では植物が生息できないことになるのだが、実際はそうではない。
この手の環境に適した植物というものがいるわけで、ニッケル耐性について見ていくことにする。
前回の記事でも見ていた水野隆文 蛇紋岩土壌における植物のニッケル過剰障害 - ペドロジスト 第 65 巻 第 1 号(2021)を読み進めてみると、
ニコチアナミンという化合物が記載されている。
ニコチアナミンは金属キレート分子であるらしく、ニッケルと強く結合するといった特徴があるそうだ。
ニッケルはニコチアナミンと結合すれば、鉄は鉄輸送体によって植物体内を適切に運搬されることにより、鉄欠乏の症状は回避できるようになる。
であれば、蛇紋岩土壌の植物はニコチアナミンの合成が得意ということで決定!という流れになりそうだが、実際はまだわかっていないそうだ。
ちなみにニコチアナミンはイネ科植物等でよく聞くムギネ酸生合成の中間体であるらしい。
であれば、蛇紋岩土壌での栽培で、どの作物を育てれば良いのか?もうっすらと見えてくる。