米ぬか嫌気ボカシ肥の表面に赤い箇所が出来始めたまでの記事で、米ぬか嫌気ボカシ肥作りで発生する反応と、それらの反応に関与する微生物について見てきた。
米ぬか嫌気ボカシ肥作りで大切になるのが、酸素をどれ程抜くことが出来たか?と水分量をどれ程ギリギリに出来たか?の二点がある。
米ぬか嫌気ボカシ肥は名前から分かる通り、嫌気(酸素がない状態)にすることが大事で、酸素が入ると品質が低下する。
水分量に関しては、水が多いと臭い成分が蓄積して、良い香りへの変換がうまくいかなくなる。
上記の内容を踏まえた上で、大事な反応というのは、
米ぬかと一緒に混ぜる事がある
写真:石灰を海に投入するという取り組みより
有機石灰等の炭酸塩の石灰だ。
米ぬか嫌気ボカシ肥作りで炭酸石灰の変化は意識しておく必要がある。
米ぬか嫌気ボカシ肥作りで最も起こり得る反応は
デンプン → グルコース → 有機酸(or アルコール)
になるだろう。
有機酸は米ぬか嫌気ボカシ肥内のpHを下げる働きがあり、炭酸石灰と反応する要素でもある。
米ぬか嫌気ボカシ肥の発酵中に生成される有機酸を乳酸だとして反応を見てみると、
2CH3CH(OH)COOH(乳酸) + CaCO3 → [CH3CH(OH)COO]2Ca(乳酸カルシウム) + CO2 + H2O
で水が発生している。
米ぬか嫌気ボカシ肥作りにおいて水分量は重要であるので、炭酸石灰からも水が発生するのでその分も減らしておくという事を意識するのは大事になる。
ちなみに上記の反応で生成された有機酸石灰(乳酸カルシウム等)は即効性の石灰で有りながら、意図していない作用がないため、非常に使いやすい石灰となる。
※炭酸苦土でも似たような反応になる。
※硫酸石灰であれば、石灰分の肥効後に硫酸根が残り、根腐れの原因の硫化水素ガスを発生する事がある