メイラード反応の中間段階までの記事で、


Methylglyoxal


メイラード反応で重要なメチルグリオキサール(MG)の合成まで見た。

村田容常 焼いたスイーツとメイラード反応 - 化学と教育 67巻2号(2019年)の内容を参考にして、最終産物のピラジンまで見ていくことにする。


MGは反応性が高く、再び何らかのアミノ酸と反応して形を変えていく。


640px-Glycine-2D-skeletal


単純な構造のアミノ酸のグリシンを例にして話を進めると、MGはストレッカー分解という反応を経て、グリシンからアミノ基(-NH2)を頂き、

保存料としてのグリシン


Aminoacetone

図:アミノアセトン | 化学物質情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター


アミノアセトンになる。


かなり省略した説明になるが、実際にはMGの端にある-C=Oの箇所がグリシンの-NH2の箇所と結合した後、グリシンであった箇所が-NH2を残して、


Glyoxylic_acid


グリオキシル酸というアルデヒド基(-C=O)とカルボキシ基(-COOH)を持つカルボン酸として離れる。

グリオキシル酸 - Wikipedia

ストレッカー分解 - Wikipedia


次にアミノアセトンが2個結合(二量体)すると、


Dihydropyrazine

図:村田容常 焼いたスイーツとメイラード反応 - 化学と教育 67巻2号(2019年)の図2を改変して引用


ジヒドロピラジンになる。


今回の例では、左側のジヒドロピラジンになり、R1にはメチル基(-CH3)、R2には水素(H)が入り、3,6-ジヒドロ-2,5-ジメチルピラジンとなる。


この化合物が酸化されて、Nの箇所のHが外れ、環状の電子の個数が変化することで、


Dimethylpyrazine


2,5-ジメチルピラジンとなる。


今までの反応を整理すると、ジカルボニル化合物(今回であればメチルグリオキサール)の種類によって、どのようなピラジンになるか変わるようだ。


これで、香りを理解するために香り化合物の分類について見るの記事の非酵素反応により生成されるフレーバーのピラジン類の理解が進んだことになる。