Alum


ミョウバンの殺菌作用についての記事で、ミョウバンの持つ機能のうちの殺菌作用について見た。


ミョウバンについての読み物を読んでいると、今まで触れてきたメイラード反応の安定化や殺菌作用の他に消臭作用の記述をよく見かける。


というわけで、今回は消臭作用について触れておく。




とは言っても、消臭作用に関しての学術的な記述を見つける事が出来なかったので、汗や臭いを抑える!焼ミョウバンの力 | 健栄生活の内容を頼りに考えてみる。


上記で紹介したページでは、ミョウバンは悪臭のうち特にアンモニアに対しての消臭効果が高いといった記述がある。


もう一点大事なこととして、焼きミョウバンを使用しているということもある。


焼きミョウバンというのは、化学式がAlK(SO4)2・12H2Oのミョウバンを加熱してH2Oを抜いたAlK(SO4)2になる。


焼きミョウバンにすることで水が減った分重量が軽くなり、より少量で効果を発揮しやすくなるそうだ。


上記の内容を踏まえてアンモニアの消臭について見ていく。




アンモニアは水に溶かすと

NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH-(NH4OH)

でアンモニア水になり、pHが上がる。


アンモニア水は悪臭であるが、酸性の溶液と反応させると悪臭が緩和されるという特徴がある。




次に焼きミョウバンの方を見てみる。


焼きミョウバンを水に溶かすと

AlK(SO4)2 → K+ + Al3+ + 2SO42-

で、更に

Al3+ + H2O → Al(OH)2+ + H+

で酸性を示すミョウバン水になるそうだ。




ここから大事な反応だけをピックアップしてみる。

最初にアルミニウムイオンと水酸化アンモニウムの反応を見てみる。

Al3+ + 3NH4OH → Al(OH)3 + 3NH4+

で白色の水酸化アルミニウムとして沈殿する。


次に硫酸イオンをピックアップして簡略的な反応として見てみると、


2NH4++ (SO4)2-→ (NH4)2SO4

で硫酸アンモニウムこと硫安として塩が形成される。

ハーバー・ボッシュ法と緑の革命




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米ぬか嫌気ボカシ肥にミョウバンを添加した時の反応を考えてみる。


米ぬか嫌気ボカシ肥作りの際のアンモニアの捉え方は米ぬか嫌気ボカシ肥の失敗のサインの悪臭化合物についての続きで失敗のサインと記載したが、一応この後の反応でアンモニアを利用出来る微生物がいる可能性もあるので判断が難しいが、アンモニアの発生をよろしくない方だと捉えれば、焼きミョウバンの添加で硫酸塩に出来るのであれば、それはそれで良いのかもしれない。


ただ、硫酸アンモニウムは無機の窒素肥料で有名な硫安であり、米ぬか嫌気ボカシ肥の肥効が即効性になる要因であるため、それはそれでよろしくない。


そもそもの話で米ぬか嫌気ボカシ肥の反応は酸性に傾きやすい反応であるため、焼きミョウバンが消臭作用として働くタイミングはあるのか?という疑問も生じる。


複数の反応が絡む環境を考えるのは難しいな。


米ぬか嫌気ボカシ肥作りが失敗して悪臭を放った時に焼きミョウバンを入れると良いのかな?