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果実内発芽から見える土の状態


前回の果実内発芽の続き

果実内発芽というのは、果実内にあるタネがうまく休眠出来なくて、本来発芽しないような時期に発芽してしまう生理障害の一つである。


原因は果実内に合成されるアブシジン酸(ABA)の合成量が少ないためであって、果実を形成する時の栄養状態に左右されるらしい。


Abscisic_acid

(画像:アブシジン酸 - Wikipediaより引用)


このアブシジン酸だけど、高校生物あたりで出てくるメジャーな植物ホルモンの一つで、ストレスに関与するホルモンとして扱われている。


主な働きは

・水が少ない状況(水ストレス)で体内の水が蒸散しないように気孔を閉じる

・種子の成熟と休眠(芽も含む)の誘導

・器官離脱の誘導

老葉はただ去るのみ

あたりである。




このアブシジン酸だけど、種子休眠に関わることから玄米等にたくさん含まれているらしく、玄米食でアブシジン酸を大量摂取する。

このアブシジン酸は実は毒がある。

だから玄米食は危ないという話題はちらほらとある。


なんで環境ストレス関連のホルモンで毒性とかの話題が出ているのだろうな?

と気になったので調べてみた。




日本植物生理学会というサイトがあり、みんなのひろばというQ&Aのページがあって、そこでアブシジン酸の働きについて質問している人がいた。

植物体内における過酸化水素濃度 | みんなのひろば | 日本植物生理学会


このページには下記の説明文が記載されていた。


植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)は一般に、植物が水ストレスにさらされ、植物の水分含量が低くなると、これが信号となって根などで合成されます。ABAは葉に移動すると、水を余り失わないように気孔を閉じる作用をもっていますが、ABAが気孔を閉じるのに直接、作用するのではなく、ABAが活性酸素を生成するように作用し、活性酸素がシグナルとなって気孔を閉じる作用を促進することが示されています。


つまりは植物は何らかのストレスを感じると、アブシジン酸が合成されて、そのアブシジン酸が鍵になって活性酸素を生成すると。


活性酸素は植物体内に菌が侵入した時に合成されると以前記載したね。

病原菌が侵入するのも確かにストレスなので、ストレスからアブシジン酸が出来て、活性酸素が出来てという流れに合致する。

発生し続ける活性酸素


活性酸素は主にミトコンドリアで生成されるので、体内にアブシジン酸が貯まると活性酸素を生成してしまうのでは?

という流れの話題になることもわかる。


休眠に関わるホルモンであれば、タネの近く、穀物にたくさんあるという流れになるのも納得。


こうして、玄米食が危ないって話題が生じたのね。