キレート剤のムギネ酸の配位座数までの記事でムギネ酸について触れて、ふと植物の鉄獲得戦略(鉄吸収戦略?)について気になってきたので調べてみることにした。


先に流れを記載しておくと、植物の鉄を吸収する仕組みは大きくわけて2つあり、一つはストラテジーⅠと呼ばれる土壌中のFe3+をFe2+に還元してから吸収する仕組みと、ストラテジーⅡと呼ばれるムギネ酸でFe3+を還元せずにそのままキレート結合して吸収する仕組みがある。

植物の鉄獲得戦略を支える分子メカニズム 植物の低鉄環境に対する適応戦略の理解とその応用 - 化学と生物 Vol. 61, No. 5, 2023


ストラテジーⅠは多くの植物のとる戦略で、ストラテジーⅡはイネ科のとる戦略になる。


こう書くと、ふーんそうなんだと流してしまいそうで、一昔の私もそうだった。

でも今は、ストラテジーⅠの方で鉄を還元する為には還元剤を合成する必要があるし、還元剤はそう都合よく鉄を還元してくれるの?とか、ストラテジーⅡの方で鉄(Ⅲ)は不溶性で溶脱し難いのでムギネ酸を分泌してそう簡単にキレート結合できるの?とか色々と疑問が湧いてくる。


とりあえず、ストラテジーⅠの方の還元剤について見ていくことにする。




冒頭付近で紹介した論文ではストラテジーⅠの還元剤としてクマリン類やフラビン類という記載がある。

クマリンを検索してみると、


Coumarin_acsv


の構造が引っかかって、この形で鉄(Ⅲ)を還元できるの?と疑問になった。

クマリン - Wikipedia


とりあえず更に検索をしてみると、Biosynthesis of redox-active metabolites in response to iron deficiency in plants - May 2018Nature Chemical Biology 14(5)でクマリン類の化合物名を見かけた。


還元性を持つ化合物名として挙がっていたのは


Fraxetin


フラキセチンと


sideretin


シデレチンになる。

フラキセチン - Wikipedia


フラキセチンとシデレチンはどちらもカテコール構造(六角形の箇所に隣合う2つの-OHを持つ)を持つ化合物になる。


カテコール構造は還元性を持ちつつ、キレート結合の手に成り得るので、これが鉄獲得戦略のストラテジーⅠに関与している感は十分感じられる。


とりあえず、化合物名を特定するのにそれなりの文量になったので、詳細の話は次回以降で触れることにする。