土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?で緑肥のヘアリーベッチに土壌消毒の代替になる可能性があるのではないか?
という内容を記載した。
この話の背景として、
ヘアリーベッチには強力なアレロパシーがあり、
周辺の草の発芽を促して枯らすという報告があることがある。
ヘアリーベッチの根からはシアナミドが分泌されるという報告があり、
シアナミドというのは土壌消毒で用いる石灰窒素の有効成分でもある。
ヘアリーベッチが土壌消毒の代替になるか?を判断するためには
シアナミドの作用がどのようなものであるかを整理しなければならない。
というわけで今回はシアナミドに触れる。
シアナミドの化学組成や石灰窒素からの反応は以前記載したので、
そこらへんの話は下記の記事にまかせて省略する。
By Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
Wikipediaでシアナミドの記載を読むと、
/******************************************************/
アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害するので肝臓におけるエタノール代謝を抑制し、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドを体内に蓄積させる。このため少量の酒でも苦しい目に遭い、断酒、節酒の効果がもたらされる。
/******************************************************/
シアナミド - Wikipediaの作用機序より抜粋
人体ではアルコール摂取周りで影響を与えるらしい。
時々石灰窒素を使用した日に酒を飲むと、少量で酔えるという話をする方がいるのは
アルデヒドデヒドロゲナーゼの作用を阻害するからなのだろう。
アルデヒドデヒドロゲナーゼはアルデヒドを分解して酢酸等に変える反応に関与する酵素のこと
ここで更に知りたい話として、
・アセトアルデヒドは体内でどのような影響を与えるのか?
・土壌の病気の要因となる菌でも同様にアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害して死滅させているのか?
だろう。
アセトアルデヒドに関してWikipediaに適切な説明が記載されていたので抜粋してみると、
By UAwiki - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
/****************************************************************/
細菌、植物、酵母などでは、アルコール発酵の最終段階としてピルビン酸脱炭酸酵素によりピルビン酸からアセトアルデヒドが合成され、それがエタノールへと変換される。この最後の反応にもアルコール脱水素酵素が逆反応の形で寄与している。(途中省略)生成されるアセトアルデヒドは、DNAやタンパク質に結合して付加体となり、様々な疾病に関与しているとされる
/****************************************************************/
アセトアルデヒドはDNAに結合して付加体になるということは、
アセトアルデヒドによって解読できない遺伝子が生じることに繋がるわけで、
重要なタンパクが合成できない症状に陥るかもしれない。
これは最悪のケースでは細胞の癌化に繋がるわけで、
アセトアルデヒドの毒性は真核生物や細菌問わずあると言えることになる。
続いて後者の土壌中の病気の要因となる菌や細菌でもアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ周りだけれども、
長くなるので今回はここで終了する。
- 続く-