カテゴリー : 農薬

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ブルーチーズで得られる知見から農薬の使用量削減を探る

ペニシリウム・ロックフォルティとラウリン酸と菌根菌の記事で、各チーズ内の脂肪酸(ラウリン酸)の含有量に触れ、ブルーチーズが最も多いことを紹介した。 ブルーチーズはアオカビ胞子の添加→熟成によって出来たチーズで、 アオカビことペニシリウム・ロックフォルティは土壌中に普遍的にいるカビであるようだ。 Penicillium roqueforti - Wikipedia AM菌といえば、以前に椰子の実の脂肪酸と菌根菌の記事で脂肪酸のラウリン酸によって成長が活発になったという研究報告を紹介...

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殺菌剤を使用すると虫による食害被害が増加する

前回の氷核活性細菌によって昆虫の耐寒性が減るという記事で、 昆虫が葉を食す際、葉の表面にいる細菌を一緒に摂取すると、体液の凍る温度が上昇して耐寒性が減るという現象があることを記載した。 この内容を見て頭に浮かぶこととして、 作物の栽培において、 APUPUさんによる写真ACからの写真 殺菌剤を使用することで虫による食害が増えることに繋がるのではないかと。 この内容に関して興味深い話があったので紹介する。 西田 貴明 特集2 ミクロな世界からの新展開 アーバスキュ...

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氷核活性細菌によって昆虫の耐寒性が減る

東海大学出版 耐性の昆虫学で昆虫の耐寒性ということで、氷核活性細菌という話題があった。 水の特性として、不純物が全く入っていない水であれば、-20℃であっても凍らないが、不純物が少しでもあると融点が上昇する。 昆虫の冬眠では、胃の内容物を出し切って、体液の不純物を極力なくした状態で融点を下げて厳しい冬を越すらしい。 ここで一つ興味深い話題があって、 葉の表面に氷核活性細菌というものがいて、その菌を摂食してしまった昆虫は体液が凍結しやすくなることで耐寒性が減る。 ※氷核活性細菌を...

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人の神経と昆虫の神経

フルキサメタミドの作用機構という記事で、昆虫の神経におけるGABAの働きを見て、GABA周辺に作用する殺虫剤の作用機構も合わせてみた。 殺虫剤は神経に作用するものが非常に多いみたいだ。 となると、 今まで見てきたアセチルコリンやGABA以外で利用されている神経伝達物質も見ておくと、今後何らかのヒントになり得るかもしれない。 逆相関の交差抵抗性 というわけで、朝倉書店 新版農薬の科学を開いてみると、 神経伝達物質の例として、 アセチルコリン、GABA、グルタミン酸、グリシン、...

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土壌消毒の前に土壌改良材を使用すべきか?

土壌消毒を行う際、土壌改良材を使用してから消毒を行う方が良いのか? もしくは土壌消毒を行ってから土壌改良材を施用した方が良いのか? そんな質問を受けた。 質問をされた方は、 土壌改良材を施用したら土壌の微生物相が豊かになるけれども、 土壌消毒を行うとせっかく豊かにした微生物相がなくなってしまうのではないか? 確かにその不安はあるかもしれない。 だけれども、現時点での知見であれば、断然前者の土壌改良材を使用してから土壌消毒を行うことを薦める。 ちなみにここで言う土壌改良...

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フルキサメタミドの作用機構

今年はいろんなところで、 ヨトウ対策として有効成分がフルキサメタミドの農薬の話題があった。 /**********************************************************************/ フルキサメタミドは、節足動物のGABA作動性クロライドイオンチャンネルを選択的に阻害し、神経の興奮抑制機能を惹起する。その結果、過度の興奮が起こされることで殺虫効果を示すと考えられている。 /*************************...

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食害虫防除としての草生栽培の可能性を探る

チョウ目昆虫の幼虫の休眠の記事までで昆虫の事を色々と見てきて思ったことがある。 それは前にも触れた草生栽培の食害虫の防除の可能性だ。 草生栽培は課題を明確化するかもしれない 地域のお年寄り達は畑に草を生やしたら虫が多くなるから畑を綺麗にしておけというけれども、 虫に対する防除というのは株を健康に育てた上で抵抗性誘導することだ。 周辺の畑が抵抗性誘導をしていたとしたら、 腕の無い栽培者の畑が集中砲火を食らうわけで技術力がないことが露呈される。 病害虫の予防は御早め...

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チョウ目昆虫の幼虫の休眠

寒い冬がある日本において、休眠によって越冬している昆虫が多いらしい。 休眠している昆虫を無理やり起こしたら、おそらく死に至るだろう。 というわけで休眠について分かっていることを調べてみることにした。 昆虫と休眠で検索してみたところ、 神村 学 チョウ目昆虫の幼虫休眠機構 蚕糸・昆虫バイオテック84(2)、127-133(2015)という特集に行き着いた。 特集に触れる前に事前にホルモンについて復習しておくと、 完全変態のチョウ目の幼虫には幼若ホルモン(JH)と脱皮ホルモン(エ...

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植物エクジソンを求めて

ハイハイさんによる写真ACからの写真 前回の脱皮ホルモン由来の殺虫剤の記事で、 幼虫の成長には幼若ホルモン(JH)と脱皮ホルモン(エグジソン)が関与していて、 これらのホルモンの相対的な濃度によって脱皮をするか蛹になるかが決まるらしい。 この仕組みを上手く活用して異常脱皮を誘導して死に至らしめる殺虫剤がある。 By コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Ayacopだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませ...

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脱皮ホルモン由来の殺虫剤

※農薬評価書 テブフェノジド - 厚生労働省 6ページより引用 テブフェノジドというヨトウを含むチョウ目の幼虫に強力な活性を示す殺虫剤がある。 作用機構はチョウ目の脱皮を促し、異常脱皮をさせることによって殺虫するというもの。 何故脱皮を繰り返すことによって殺虫することが出来るのか? この農薬の作用を深く理解する為には、どうやら幼虫の成長について把握する必要がありそうだ。 ハイハイさんによる写真ACからの写真 知識不足で何の幼虫だかわからないが、 おそらく...

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逆相関の交差抵抗性

前回の有機リン系殺虫剤の作用機構の記事で、 よく使用されている有機リン系殺虫剤の作用機構について触れた。 農薬を使用していて頻繁に挙がる話題として、 農薬の効きが年々悪くなってきたというものがある。 同じ農薬を使用し続けると、対象となる昆虫等が耐性を持って効かなくなるというものだ。 何故効かなくなるのか? 酵素と基質の鍵と鍵穴の関係程厳密ではないけれども、 酵素と農薬の間にもゆるい鍵と鍵穴の関係がある。 ビタミンを理解する為に補酵素を知る 上の図の右...

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有機リン系殺虫剤の作用機構

前回の成虫で休眠する甲虫は土壌で何をしているのか?の記事で、コガタルリハムシという成虫で休眠をする甲虫に触れた。 コガタルリハムシは土壌で休眠中に抗菌性のペプチドを合成するが、 不思議なことに自身に影響を与える菌ではなく、ジャガイモの乾腐病菌の菌糸の伸長を抑制する物質であった。 もしかしたら畑において天敵以外でも作物に良い影響を与える昆虫は沢山要るのではないか? ここで気になるのは、 普段よく使用されている殺虫剤が天敵や作物にとって無害(もしかすると有益?)の昆虫も一緒に殺虫し...

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成虫で休眠する甲虫は土壌で何をしているのか?

昆虫の更なる理解を求め、 東海大学出版から販売されている耐性の昆虫学という本を読んでいる。 この本を読んでいると、昆虫はとても強く、そしてわからないだらけだということを痛感する。 耐性獲得の速さから栽培で殺虫剤を使用するという選択は実はとんでもない負債を背負うのではないか?と思えてくる。 この手の話は後日にしておいて、 コガタルリハムシという甲虫で興味深い話があったので紹介する。 この昆虫は タデ科の草の活躍 タデ科のギシギシ(スイバの仲間)を...

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アミノ酸で青枯病を予防する

青枯病対策としてのDIMBOAまでの記事で、 厄介な青枯病やヨトウの防除のことを整理した。 病気と食害を交互に見ることで、 どちらの被害軽減に対して同じ事を見ているように感じてくる。 そんな中で興味深い読み物を発見した。 瀬尾茂美等 今日の話題 ありふれたアミノ酸が植物病害を抑える アミノ酸による植物のパワーアップ - 化学と生物 Vol.56. No.6. 2018 上記の記事では、 トマトの青枯病に有効な農薬の開発というテーマで、酵母抽出液から発病を抑える効...

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青枯病対策としてのDIMBOA

昨日、某SNSに環境に優しい土壌消毒ダゾメットの記事をシェアしたら、 下記のコメントがあった。 /*********************************************************/ アブラナ科ベビーリーフ残渣をすきこみ続けると果菜類のあとのひどい土壌も徐々に復活するのは、今回の内容と関係あるのだろうか、とか考えました。 /*********************************************************/ このコメン...

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虫にかじられやすい株とそうでない株の違いは何だ?

前回のダゾメットによる土壌消毒はチョウ目の幼虫に有効であるか?の記事で、 アブラナ科植物の防御反応であるイソチオシアネートがチョウ目に効かないというのは、 イソチオシアネートに対して耐性があるわけではなく、イソチオシアネートを合成させないということだった。 つまりはまだチョウ目の幼虫にイソチオシアネートが効く可能性があるということだ。 イソチオシアネートはアブラナ科植物が虫による食害(傷害)を受けた時に合成される。 ここで疑問が生じる。 コマツナ等のアブラナ科植物で、葉脈...

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ダゾメットによる土壌消毒はチョウ目の幼虫に有効であるか?

前回の環境に優しい土壌消毒のダゾメットで、 よく使用されるダゾメットがアブラナ科植物の防御反応の一つであるイソチオシアネートを活用していることがわかった。 ここで一つ疑問が生じるのが、 ※写真は私にとっての農業とSOY Shopより アブラナ科とチョウ目(旧:鱗翅目)の関係ではないだろうか。 アブラナ科植物というのは特有の辛味成分のおかげで虫に食われにくいと言われるが、チョウやガの幼虫にはよく食害される。 辛味成分は今まで話題に挙がったイソチオシアネートのことで、...

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環境に優しい土壌消毒のダゾメット

土壌消毒について見直す時期ではないだろうか?の記事で、タイトル通り土壌消毒について見直すべきだと思っている旨を記載した。 土壌消毒という名前により、 土壌中の病原性の微生物等を消毒できるという思い込みが発生するが、 実は消毒できない個所があって、そこに病原性の微生物等が潜伏する。 普段行われている土壌消毒のことをより深く知ることで、 どこまで土壌消毒に依存するか?の判断が出来るようになるので、 今回は土壌消毒について触れてみる。 薬剤による土壌消毒で頻繁に見聞きする...

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ヨトウの天敵を探す

カブトムシのかいかたそだてかた - 株式会社岩崎書店 このサイトは、子どもの本の岩崎書店のサイトです。 長男がカブトムシのかいかたそだてかたという本を借りてきた。 最後のページにカブトムシの天敵があって、キツネ、タヌキ、モグラや冬虫夏草が記載されていた。 サナギダケの胞子はどこにいる? 冬虫夏草が挙げられているのは凄いなと思いつつ、ここらへんの天敵はなんとなく思いつく。 これらの天敵以外で意外な天敵が目に付いた。 それはミミズとツチバチだ。 ミミズはカブトムシを捕食...

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ヨトウは海の向こうからやってくる

ハスモンヨトウという作物の葉を食害する昆虫がいる。 苦手な人もいるだろうから写真は控えておくが、食害するのはヨトウガというチョウ目(旧:鱗翅目)の蛾の幼虫だ。 漢字で書くと夜盗蛾で昼間は土に潜っていて、夜に地表に現れて葉をかじる。 ある程度の大きさ(中齢幼虫)になると殺虫剤が効きにくくなると、 天敵(大半は日中に活動する)はダメ、殺虫剤はダメとどう対策すれば良いのだ?というラスボスみたいない昆虫がいる。 弱点といえば、どうやら寒さに弱いらしく、露地では日本の冬に越冬できないらし...

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土壌消毒について見直す時期ではないだろうか?

耕土の深い層に潜伏した病原菌の記事で、 病原菌が耕土の深いところに潜伏していて、深く耕すことによって病原菌が上がってくることはどうなの?という疑問を考えてみた。 ※ここではグラム陰性細菌の青枯病菌について触れている そもそもの話で、 各種土壌消毒法による青枯病菌密度抑制効果の事例解析 - 農研機構機関リポジトリ によると、深い層にいる病原菌は薬剤による土壌消毒の効果が届かない深さにいただけの可能性がある。 更に上記の解析結果によると、 土壌消毒に糖蜜やエタノールを利用すると...

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耕土の深い層に潜伏した病原菌

先日、病気の話をしていた時に下記のような話題が挙がった。 病原菌が耕土の深いところに潜伏すると聞いた。 排水性の向上の為に深く耕す(天地返し)ことによって、病原菌が潜伏する層が土表面に上がってくることになるけれども大丈夫なのか?と 上記の内容を考えてみよう。 耕土の深いところに潜伏する病原菌と聞いて連想するのが、 おそらく青枯れ病菌か軟腐病菌ではないだろうか? 青枯病の原因菌について調べてみた どちらもグラム陰性の嫌気性の細菌に分類されていて、 酸素が少ない環...

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米ぬかを利用した土壌還元消毒

以前、ダニの防除を調べていた時、 農文協から出版されているハダニ防除ハンドブックに米ぬかによる土壌還元消毒という手法が紹介されていた。 『ハダニ防除ハンドブック』國本佳範編著 - 田舎の本屋さん 有機質肥料としての米ぬか 主にハウスで1〜2トン/反の米ぬかを施用し、土壌を潅水して酸素の少ない状態にする。 潅水状態で土と米ぬかを撹拌して静置する。 土を乾かしビニールで覆うことによって酸素が入らない状態にして、20日近く静置する。 米ぬかを使用した土壌還元消毒における土壌窒...

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病気の予防は昆虫を意識し、昆虫から学べ

先日、大阪市立自然史博物館で開催中の特別展昆虫に行ってきた。 連休中ということもあって中は非常に混んでいた。 博物館の前で女の子がポスターを見て、カマキリ先生と言っているのを見ると、 Eテレの香川照之の昆虫すごいぜ!は偉業を成したと実感する。 香川照之の「人間よ、昆虫から学べ」という名言がある。 材料工学において昆虫の模倣というものは非常に重要で、 薬学において昆虫から抽出した物質も重要で、 昆虫の研究というのは年々重要度が増していく。 そんな中、昆虫展が混雑して...

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殺菌剤に病原菌の滅菌作用があると期待することが問題だ

どこで見たかは定かではないが、 農薬の開発者の言葉で、 畑で病気が発生し、畑全体に蔓延した状態になったら、殺菌剤で進行を止めることは難しい というものがある。 とは言え、日々の作業が忙しくて、病気の出始めを発見(早期発見)は難しい。 だから後手にまわって、畑全体で病気が蔓延した時に殺菌剤を使用してしまうといった話を良く聞く。 ここでふと気になったことがある。 こと京都株式会社さんで病気の話をしましたで触れた内容になるが、 殺菌剤を文字通り、病原菌が液体に触れたら消...

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モミラクトンの分泌量の増加を追う

イネから発見されたイソプレノイドのモミラクトン 前回の記事でイネの根からモミラクトンという物質が分泌されていて、 モミラクトンには抗菌性やアレロパシー活性があると記載した。 抗菌性というのはいもち病への耐性あたりで、 モミラクトンの分泌を促進できるような資材があれば、 栽培はもっと楽になるのではないか? というわけでモミラクトンについて更に調べてみると、 加藤 尚 イネの根からのアレロパシー物質モミラクトンの分泌 根の研究(Root Research)25 (1):5-...

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イネのサクラネチンはいもち病菌に対して抗菌作用を持つ

HiCさんによる写真ACからの写真 苦味や渋みのタンニンまでの記事の流れからわかる通り、 ポリフェノールについての興味が日に日に増している。 ポリフェノールの理解が深まると、 日々の食事が豊かになることはもちろんのこと、 土についての理解が深まるのではないか?と期待している。 ポリフェノールという難題に手を付ける為に、 羊土社から出版されている基礎から学ぶ植物代謝生化学という本を購入して読み始めてみた。 この本は植物が合成する様々な物質をどのような物質を経...

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殺菌剤とブドウの品質

地形と土壌とテロワールに引き続き、ワインの原料となるブドウの品質について。 河出書房新社から出版されている新しいワインの科学という本に農薬とブドウの品質の話題があった。 農薬を使用するとワインの品質に影響があるか?というもので、 ボルドー液を例に話が進んでいた。 ボルドー液といえば、硫酸銅と消石灰を混合して作成した殺菌剤の事で、 銅の強い結合力に期待した農薬となっている。 銅の機能を活かした農薬、ボルドー液 チョコクロワッサンさんによる写真ACからの写真 ...

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ナミハダニに対するプラントアクティベータ

農研機構のプレスリリースを眺めていたら、 (研究成果)トマトなどの虫害を天然物質で予防 | 農研機構というものを見かけた。 タバコ由来の天然物質であるロリオライドをトマトの葉に与えたところ、作物の重要害虫であるナミハダニ、ミカンキイロアザミウマやハスモンヨトウの生存率と産卵数の低下が確認できたとのこと。 ロリオライドは直接的な殺虫作用は持たないので、プラントアクティベータとして働いたということがわかった。 これはとても明るい未来に繋がる研究成果であって(他の研究成果も同様に未...

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ホウレンソウとダニの話

食品残渣系の堆肥にダニが湧いたの記事で、 ダニのことが話題に挙がったけれども、ダニの事がまったくわからず予想ができなかった。 というわけで、 朝倉書店から出版されているダニのはなし -人間との関わり-という本を読んでみた。 一通り読んでみて、 栽培者が知っておくべきことがいくつかあったので今回はそれを紹介する。 ホウレンソウを食害するホウレンソウケナガコナダニの話 その名の通り、ホウレンソウの葉を食害するダニではあるが、 このコナダニは...

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クオラムクエンチングで軟腐病や青枯病の被害を減らせるか?

作物の病原性細菌たちのクオラムセンシングの続き。 前回の記事までで、 栽培で非常に厄介な軟腐病菌と青枯病菌はクオラムセンシングという仕組みで、 周囲で仲間が十分数増殖できたことをきっかけに病原性の物質を合成して宿主である作物を攻撃する。 仲間がある程度の増殖は周辺のクオルモンの濃度を見ている。 このメカニズムに関して興味深い論文を発見した。 青枯病菌 Ralstonia solanacearumのクオルモンによる病原性発現 土と微生物 Vol.60 No.2,pp.91〜...

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作物の病原性細菌たちのクオラムセンシング

前回の記事で、 細菌らが何らかのアクション(たとえば宿主に対する毒素の生成であったり)を行うきっかけとしてクオラムセンシングというものがあるという紹介をした。 クオラムセンシング クオラムセンシングは腸内細菌叢で頻繁に挙がる用語だけれども、 栽培でもクオラムセンシングを見ているものがあるのではないか? ということで検索してみたら、 クオラムセンシングの農業への応用 日本農薬学会誌 33(1), 90–94 (2008) という論文に行き着いた。 細菌らが周辺に自分の仲間が...

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クオラムセンシング

みすず書房からこれからの微生物学 マイクロバイオータからCRISPERへという本が出版されていたので読んでみた。 ちょっと前まで権利の問題で世間を騒がせていたCRISPER-Cas9を微生物学的な視点から応用までを丁寧に説明していたり、 CRISPER - Wikipedia バイオフィルムやクオラムセンシングといった私が学生の頃に教科書に載らなかったような内容がまとまっていたのが良かった。 バイオフィルム - Wikipedia クオラムセンシング - Wikipedia ...

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未熟な鶏糞内に含まれるであろう抗酸化作用

植物にとってビタミンB6とは?の続きまでの記事で、 ビタミンB6が活性酸素に対して抗酸化作用があることがわかった。 今まで見てきた活性酸素は電子を多く持って不安定になった酸素や水が、 更なる安定を求めて、他の物質から電子を抜き取る作用があって、 取られた物質は電子を取られることによって脆くなる。 電子は糊付けの意味を持っていると捉えれば、 電子を取られることで崩壊するすることはイメージしやすい。 量子力学で生命の謎を解く 抗酸化作用のある物質とは、 活性酸素にいち早...

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藍藻から発見された植物の芳香族アミノ酸等の合成を阻害する糖

とあるサイトでシアノバクテリアから発見された糖にシキミ酸回路内の酵素を阻害するものがあったという論文の紹介記事があった。 写真:ねこのしっぽ 小さな生物の観察記録より引用 シアノバクテリアとは酸素発生型の光合成を行う細菌のことで、 古い呼び名では藍藻と呼ばれている藻類?である。 藍藻類のユレモはゆらゆらと動く シキミ酸回路といえば、 Journal of Pesticide Science 6 〔1},February 1981 112ページより引用 植...

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シアナミドは土壌の細菌にも効果があるのか?

前々回の石灰窒素の作用機序で石灰窒素の主成分であるシアナミドの作用機序を調べ、 前回の酵母でのアセトアルデヒドの耐性で最もシンプルな真核生物の酵母でのシアナミド経由で蓄積されるアセトアルデヒドに対する振る舞いを調べた。 元々の話の発端は緑肥のヘアリーベッチが根からシアナミドを分泌するということから、 土壌消毒の代替として晩秋からヘアリーベッチの栽培は可能であるか? というものだった。 今抑えたい症状が四万十の話題で頻繁に挙がったショウガの根茎腐敗病等や、 以前からずっ...

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酵母でのアセトアルデヒドの耐性

前回の石灰窒素の作用機序の記事で 石灰窒素の主成分であるシアナミドの作用と、 アセトアルデヒドの毒性について触れた。 シアナミドの作用によって蓄積されるアセトアルデヒドはDNAやタンパクと結合といった重大な影響を与えることがわかった。 おそらくこの毒性は細菌等の原核生物や動物、植物やカビ(酵母)等の真核生物関係なく、 DNAを持つすべての生物に影響を与えるはずだ。 菌と細菌について 更なる理解を深める為に検索していたところ、 出芽酵母のアセトアルデヒドに対する細胞応答と耐...

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石灰窒素の作用機序

土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?で緑肥のヘアリーベッチに土壌消毒の代替になる可能性があるのではないか? という内容を記載した。 この話の背景として、 ヘアリーベッチには強力なアレロパシーがあり、 周辺の草の発芽を促して枯らすという報告があることがある。 ヘアリーベッチの根からはシアナミドが分泌されるという報告があり、 シアナミドというのは土壌消毒で用いる石灰窒素の有効成分でもある。 ヘアリーベッチが土壌消毒の代替になるか?を判断するためには シアナミドの作用がどのよ...

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土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?

前回のエンドウの寒さへの強さの秘密はどこにあるのかい?の記事を作成している時にふと思ったことがある。 前回の草は○○エンドウという名前が付いている草だと思うけれども、 緑肥のヘアリーベッチの底力 緑肥でこの草の仲間にヘアリーベッチという草がある。 このヘアリーベッチという緑肥はマメ科で根粒菌との共生で窒素固定が出来るだけでなく、 根から分泌されるアレロパシーで周辺の草を抑え込む。 アレロパシーの仕組みは どうやら周辺の草のタネの休眠を早期に打破し、 適切な...

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青枯病の原因菌について調べてみた

ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制で、 芳香族カルボン酸 + 二価鉄 + 過酸化カルシウムで青枯病の発生を抑制できる研究結果の紹介をした。 上記組み合わせで強力な酸化作用のある活性酸素が青枯病の原因菌を殺菌するというのが抑制の仕組みとなる。 活性酸素による殺菌であるならば、 おそらく他の菌でも同様のことが言えるはずだということで、 青枯病の原因菌を知れば様々な応用も出来るはず ということで青枯病の原因菌について調べてみることにした。 青枯病の原因菌...

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ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制

SNSのタイムラインを眺めていたら、 とても印象に残った研究のプレスリリースがあったので 今回はその研究成果が広まって欲しいという願いを込めて紹介する。 紹介したい研究結果というのは、 Generation of hydroxyl radicals by Fe-polyphenol-activated CaO2 as a potential treatment for soil-borne diseases Cláudio Kendi Morikawa Scientific Repo...

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食用キノコから発見されたストロビルリン

ネギのべと病もストラメノパイル 前回、ネギ栽培で厄介なべと病に触れた。 べと病はフハイカビという卵菌類由来の病気であることを記載した。 べと病でいろいろと読んでいたら、 べと病対策で頻繁に使用されているとある農薬の作用点が目に付いた。 有効成分がアゾキシストロビンという農薬だ。 食用キノコ(シメジ)から発見されたストロビルリンと同様の作用がある。 ストロビルリンの作用点はミトコンドリア内の複合体Ⅲを阻害して、 生物の電池であるATPの合成を阻害して死滅...

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ネギのべと病もストラメノパイル

ショウガの根茎腐敗病とストラメノパイルで ショウガの根茎腐敗病は卵菌類という原生生物由来の病気であると触れた。 ショウガの根茎腐敗病の対策の前に、 他の作物で卵菌由来の病気がないか?調べてみることにした。 で、色々と振り返ってみたら、 ネギのべと病も卵菌由来の病気であった。 ※上の写真はべと病の初期症状だとされる べと病で振り返ってみると、 亜リン酸カリの葉面散布が有効であると以前触れた。 亜リン酸肥料、再考 もし、亜リン酸カリが卵菌に対し...

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乳酸菌バクテリオシン

前回の軟腐病対策としての乳酸菌由来の農薬で、 乳酸菌由来の農薬の開発の研究内容に触れた。 作用機構を見ると、 ・バクテリオシン ・作物の免疫向上 ・病原性微生物との競合 の3種を紹介していたが、 一番目のバクテリオシンは主因ではないと記載されていた。 なぜバクテリオシンが主因ではないのか? バクテリオシンについて調べてみることにした。 検索の前に少しだけ触れると バクテリオシンというのは乳酸菌が自身の群に他の菌が侵入してこないようする為の抗菌作用のある物質の総称...

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軟腐病対策としての乳酸菌由来の農薬

乳酸菌のことを調べていたら、 乳酸菌Lactobacillus plantarumを使った微生物農薬の開発 日本農薬学会誌 40(1), 12 日本農薬学会誌 という論文が引っかかった。 読んでみると、 ハクサイの軟腐病用の農薬として触れられていた。 対軟腐病 農薬と言えば、 作用機構が気になるところで読み進めてみる。 乳酸菌といえば、 By Photo Credit: Janice Haney CarrContent Providers(s): CDC/ ...

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鱗翅目の幼虫が真っ白になっていたんだって

写真を掲載することができないのだけれども、 ちょうど2年前あったりにSNS経由で知人から一枚の写真が届いた。 その写真は有機栽培をされている方の畑が4年目を迎えたあたりで、 畑にいた作物を食害する鱗翅目の幼虫の至るところから白い菌糸が出ている写真だった。 その姿は ※図はhttp://www.silk.or.jp/silk_gijyutu/pdf/8-4_5setsu.pdfの144ページ目より引用 カイコの白きょう病にそっくりであった。 ※上の写真の下の方 ...

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サナギタケの胞子はどこにいる?

虫に寄生するキノコの冬虫夏草 先日の投稿をSNSに投稿したら、下記のようなコメントが返ってきた。 /**************************************************/ サナギタケ、たまに見ますね。むかし、腐葉土入れたらハウス内でも結構出ました。確かに土の中で殺す手段があれば、ヨトウ対策にはベストですね。業界にそまってしまうと、ヨトウは土の中に潜むからなかなか防除できない、と固定観念が染みついてしまって。そんな自分の頭に渇を入れていただきました。 /...

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グラスエンドファイトと天敵でヨトウの被害を減らせるか?

グラスエンドファイトのアルカロイドに頼りたいの続き イネ科植物と共生する菌でグラスエンドファイトというものがあり、 グラスエンドファイトが合成するアルカロイドには、 植食性の昆虫に対して致死性、もしくは食害抑制がある。 この効果をヨトウの被害の対策に出来ないか?と調べていたところ、 エンドファイト活性のあるイネ科の緑肥のタネが既に販売されていることを知った。 芝・緑化・緑肥 | 品種検索 | ペレニアルライグラス | アフィニティ - タキイ種苗 今回はこの続き ヨト...

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グラスエンドファイトのアルカロイドに頼りたい

グラスエンドファイトとヨトウの記事で、 共立出版 基礎から学べる菌類生態学という本で、 グラスエンドファイトに感染されているホソムギをヨトウの幼虫に餌として与えたところ、 非感染植物を与えた場合に比べて成長が著しく抑制された。 という内容が記載されていたことを紹介した。 この話題を挙げた背景として、 /**********************************************/ 今年はヨトウの被害がひどかったという方が多かった。 ヨトウというのは...

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畑作の間に稲作をかますということ

土作りをせずに強い肥料で無理くり栽培までもっていたとか、 作物の旬を考慮しない栽培が終わった後や 過度な連作の後は 客土で川砂を入れる意義再び 次作は畑作ではなく水田をかませ という話をよく聞く。 畑作の連作で土壌の酸化が進んで排水性等が向上していたかもしれないけれども、 それらのメリットを犠牲にしてでも水田をやるべきだと言う。 メリットは大きく3つで 1つ目は残留した強い生理的酸性肥料を水田に水を入出することで濃度を下げること 生理的酸性肥料って何? ...

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