Shohei_Mar2091さんによる写真ACからの写真
風邪の予防にミカンというけれどまでの記事でカロテノイドに注目している旨を記載した。
昨今の免疫を向上する食材の情報を見ていると、カロテノイドを抑えておいて損はないと判断してのこと。
カロテノイドの生合成の記事でカロテノイドはどういう経路で合成されるか?を見てきたけれども、もう一つ見ておくべきこととして、カロテノイドが合成されなかったらどうなるのか?も重要だろう。
カロテノイドの生合成は色素体の中で進むので、非メバロン経路により
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フィトエンになって、
Jeff Dahl - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
様々な酵素によって二重結合が増え、
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両端が環状になり、
akane700 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
両端に水酸基(-OH)等が付与されるといった経路を経て、濃い赤から淡い黄色の色素になっていく。
ここで除草剤でカロテノイド合成の阻害剤を見ることにする。
阻害剤はいくつかあるけれども、
農薬評価書 ノルフルラゾン - 食品安全委員会農薬専門調査会
日本では許可されていないらしいが、米国や豪州で許可されているノルフルラゾンという成分を見ることにする。
このノルフルラゾンという成分はフィトエン不飽和化酵素(PDS)を阻害する。
酵素名の通り、非メバロン経路を経て合成されたフィトエンから、それ以降のカロテノイドへの合成を阻害する。
カロテノイドが合成されなくなった葉では、葉緑体のクロロフィルにて光合成の際に発生する活性酸素の除去ができなくなり、蓄積した活性酸素によって葉緑体が崩壊し、白化して生育が停止する。
※朝倉書店 新版農薬の科学 135ページを参考
主に、草が小さい時に多大な効果を発揮するらしく、作物がある程度育ったほ場において、通路に散布することが一般的であるそうだ。
※上の写真はイメージしやすくするために表示した
ここでわかることとして、フィトエンで合成がストップするといえど、フィトエンはリコペンの手前の構造になっている。
フィトエンの構造でもそれなりに活性酸素の除去に効果がありそうだけれども、光合成にとってはフィトエンではダメらしい。
光合成というものが如何に糖を合成する為の負荷?といって良いかわからないけれども、そういうものが大きな営みであることがわかった。