前回の人には認識できない色の色素の記事で無色の色素は人が認識できないだけで、紫外線の色の色素があるという内容を記載した。
植物の色に限らず色というものは降り注ぐ太陽光のうち反射した波長のものを人の目が色と認識しているわけで、
植物の葉であれば、光合成に不要な緑色の波長を反射するので人の目には葉は緑色に見える事になる。
紫外線というのは、人が認識できる可視光線で最も波長が短い紫色の外側の光で、生物にとっては反応性が高く有害性が高い光を指す。
一日中光を浴び続けている植物であっても紫外線は有害であることが多く、植物も何らかの紫外線対策をしているという。
千葉大学のプレスリリースで紫外線から植物を守る - 有害な紫外線から植物を守る物質と生合成遺伝子を発見 - 千葉大学という研究報告があった。
写真提供 Peggy Greb, U.S. Department of Agriculture から Pixnio
シロイヌナズナの花において、紫外線量が多い地域で有害な紫外線から植物を守るフラボノイドの生合成を行う個体がいたそうだ。
※Characterization of a Recently Evolved Flavonol-Phenylacyltransferase Gene Provides Signatures of Natural Light Selection in Brassicaceae Fig.1より一部改変して引用
サイギノールと名付けられたフラボノイドは
Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
黄色い色素のフラボノイドの記事でみた淡黄を示すフラボノイドのケンフェロールに3個の糖と
Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
シナピン酸が結合した構造になっている。
※シナピン酸の前駆体であるシナップアルデヒドはリグニンの合成に関与する
このフラボノイドが常に降り注ぐ太陽光の中の有害な紫外線を遮断するフィルターのような役割をしているそうだ。
おそらくこの手の機能は他の植物にも備わっていると見ても良い可能性は高い。