油脂の多い魚粉肥料は評判が良いの記事で、油脂がのった青魚系の魚粉肥料は評判が良いという話から、肥料としての油脂についてを見て、油脂を構成する脂肪酸は植物が直接吸収して、膜脂質に取り込まれるという内容を記載した。
膜脂質というのはリン脂質になり、細胞内で細胞膜を構成したり、物の輸送に関わったりしている。
この内容を見て、次に気になるのは、リン脂質が食味を向上させるか?になるだろう。
検索をしてみたら、桂木能久著 苦味だけを選択的に抑制するリン脂質 化学と生物 Vol.35, No. 7, 1997にたどり着いた。
内容を要約すると、
Hbf878 - 投稿者自身による著作物, CC0, リンクによる
リン脂質のホスファチジン酸(PA)とホスファチジルイノシトール(PI)で苦味成分を抑制する働きが見られたそうだ。
※ 青と緑の箇所は何らかの脂肪酸が入る
※ PIはPAの赤い箇所のリン酸にイノシトールが繋がったもの
食味の中で苦味が減れば、甘味や旨味を感じやすくなるので食味の向上に繋がるのは納得出来る。
苦味の抑制の作用機構は主に2つで、一つは舌にある苦味センサーにリン脂質が入り込んで苦味を感じにくくすること。
もう一つはリン脂質が苦味物質と繋がり、苦味自体を感じにくくするそうだ。
苦味物質は疎水性(水に溶けにくい)であるため、リン脂質と相性が良いのだろう。
リン脂質が多くなることで食味が向上するのは他にもありそうだけれども、今回はここまでにしておく。