遺伝子組み換えの手法の使いどころ


前回の花の色の色素を細胞に組み込んだ話を続けるとして、

組み込んだ遺伝子が確実に発現する保証はないということを記載した。


もし、組み込んだ遺伝子が必ず発現するということになったら、

どの遺伝子も一律同じ割合で発現することになり、

F1種子の欠点で書いた様な普段は眠っている有用遺伝子なんて話はなくなって、植物の環境に対する適応力という話はなくなってしまう。


哺乳類を例に出すと、

赤ん坊の時に乳を分解する酵素を頻繁に発現させるらしいけど、

成長するに従って乳を分解する酵素は発現しなくなる。

ビタミンDの前駆体を体に組み込むキノコたち


つまりは、

遺伝子が発現する時、何らかによって制御されている可能性があるということ。




もう一点、


遣唐使が生薬として持ち帰った朝顔の種


この花に鮮やかな青の色素を合成する遺伝子を入れたとする。

その時、どれほどの青色になるのだろうか?


合成する量はどうやって決める?


これらの発現の有無や量は転写因子と呼ばれる領域によって制御されている。

※遺伝子組み換え作物の説明の時、プロモータという用語がよく使われている

転写因子 - Wikipedia


ざっくりと書くと、


※この遺伝子は左から右に向かって読み込まれる


こんな感じで色素の遺伝子の前に発現を制御している配列がある。


例えば、

色素を合成しすぎた場合に、制御している配列に色素が結合したら色素の合成を止める(ネガティブフィードバック)であるとか、

とある菌が合成するタンパクが制御している配列に結合した場合に合成を始める(ポジティブフィードバック)ものがある。


遺伝子を組み込んだ際、組み込まれた遺伝子を確実に発現させたい場合、

制御している配列の箇所に無条件で発現するであったり、

強制的に発現するであったりといった配列を組み込むのが一般的で、


強制的な発現といえば病原性のウィルスが得意分野なので、

ウィルスから取り出した制御配列と組み込みたい遺伝子と合わせて、



こんな感じでプラスミド(ベクター)に挿入して、形質転換を行う。

アグロバクテリウム法で作物の遺伝子組み換え


なんでこんな内容を投稿したか?というと、

前に自分の主張を投稿する準備で遺伝子組み換え作物のことを書いたら、

遺伝子組み換え作物は異なる2種類の生物の遺伝子を組み合わせるって聞いたのですが本当ですか?とメッセージが届いたからだ!