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昨日、長野県の栄村の米を積極的に販売したいという方が来られて、

取り扱っている米をいただきました。

小滝のお米「コタキホワイト」


栄村で穫れる米はとても美味しいらしく、

銀座の割烹料理等で使用されるらしいのだけれど、

どうしてここまで美味しいのか?

調査の当たりが欲しいということで相談を受けました。


最初に簡単な地域の概要と肥料の明細をいただき、

積雪量の多い地域であることがわかりました。


地域の方曰く、

雪解け水が良いから、それが米に影響を与えていると。


雪解け水が良いという理由であれば、

該当する地域がたくさんあるので競合が現れやすく困るだろうし、

そもそも人が美味しいと感じる水が成分的に作物に良い水とは限らない。

※カルシウムを多く含んでいる硬水とか

天川村洞川の名水のごろごろ水

カルシウム過剰によるカルシウム欠乏


肥料にこだわっているという話も挙がりましたが、

これと言った特徴のある肥料を使っているわけでもなく、

生化学を前提にして発酵処理を行っているというわけでなかったので

肥料のこだわりが味に影響しているというわけではなさそうだ。




資料を読み進めてみると、小さくさらっと黒ボクという文字があった。

資料は行政の作成したものだ。

黒ボク土は良い土というイメージが共有されている


本当に黒ボクの地域なのか?

ということで、


産総研の地質の地図を開いてみたら、


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日本シームレス地質図


苦鉄質火山岩石(塩基性岩)の地域になっている。

しかも、マーカーの左下の位置が山で、

マーカーの位置は玄武岩質的火山の麓だった。

※苦鉄質岩はカンラン石、輝石、角閃石など多く含み、長石や石英などが乏しい岩石

栽培にとっての苦土の基のかんらん石

ブルカノ式火山の火山灰の土としてのポテンシャル

大阪市内でシラスと出会った


これはすごいところだぞ!




以前、黒ボクとは何なのか?ということで、

京都にある夜久野高原に行ってきた。

玄武岩質的な火山灰土壌の色は黒だった


夜久野というのは、

京都府内唯一の火山があった場所で、

ここの地域は玄武岩質的な岩由来の土壌である。


黒ボクは

玄武岩質的な火山灰 + 腐植 + 冷涼(暑すぎないという意味)な地域が条件なわけで、

夜久野高原はこの条件を満たしていた。


話は戻って、

長野県下水内郡栄村の地質と気候条件を再び挙げてみると、

積雪量が多い地域

玄武岩質的岩石の火砕物由来の土壌


この2つで良い土壌が形成される条件を満たしているではないか!


更に、積雪は5ヶ月にも及ぶため、

積雪中は山の土はずっと湿っている(供給され続けいてる)わけで、

地下水というのはふんだんにある上、

この地下水には苦鉄質なミネラルを多く含まれていると予想できる。

※相対的にカルシウムが少なめになる

雪に埋もれた畑を見て思い出す師の言葉


黒ボク + 作物にとって重要なミネラル分が豊富

この地域で丁寧に栽培され収穫できた米は美味しいに違いない。

※宣伝してくれと頼まれているわけではありません。


玄武岩質的な地域ということで栽培上の注意点を挙げるとするならば、

現時点での知識になるけれど、おそらくカリウムが少ないだろうなと思いきや、


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所々に貫入岩のエリアが見られ、

ここらへんがカリウム不足を補っていたりして?

五代松鍾乳洞横にあったスカルン鉱床


これ以上のことはここに行ってみないとわからないね。


追記

実際に栄村小滝集落に行ってみた記事

長野の栄村小滝集落の米づくり前編


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