最近、酵母や菌根菌といった栽培中に目に見えない要素の話題が挙がることが増えた。
取り急ぎ概要の把握ということで酵母や菌の本を読んでみると、ところどころで挙がってくるのがトレハロースという二糖の物質。
トレハロースというのはグルコース2つがα1-1結合で繋がった二糖で、バリダマイシンAという農薬の作用の際にも話題が挙がった。
バリダマイシンAの話題の時は、菌のトレハロース分解酵素を阻害するという作用で、菌自体は環境からストレスを受けた時にトレハロースを溜め込む。
環境からのストレスが軽減した際に速やかに分解されるが、バリダマイシンAはトレハロースの速やかな分解を阻害するとのこと。
菌におけるトレハロースの作用は一旦置いといて、トレハロースの話題と言えばもう一つ重要なのが、植物が菌根菌と共生関係を結んだ時、植物の根の細胞内でトレハロースの量が増えたという研究結果がある。
これは植物が菌根菌にショ糖を与え、菌根菌が植物にトレハロースを与えていると考えられていた。
これらの話を見ていると当然気になるのが、植物ではトレハロースはどのような働きをするのだろう?
ということで、
早速、植物とトレハロースで検索してみた。
すると、総論 植物におけるトレハロース代謝とその機能 応用糖質科学 第 1 巻 第 2 号 147―152 (2011)という論文が引っかかった。
要約すると、植物(シロイヌナズナ)でトレハロースの合成に関わる遺伝子が発見された。
シロイヌナズナでトレハロースの合成を潰すと種子形成が正常に行われない。
イネでトレハロースの合成を過剰発現させたら発芽時のアブシジン酸の過剰受性、光合成活性の低下etcの生理的変化が見られた。
アブシジン酸は乾燥ストレスの際に話題に挙がる植物ホルモンで、トレハロースも乾燥耐性で話題に挙がる。
植物と菌根菌の共生時に植物の根の細胞にトレハロースが蓄積された。
菌根菌との共生で宿主の植物の乾燥耐性が増したという報告もある。
ここらへんに栽培の何らかのヒントがあるかもしれない。
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