栽培の師は休ませている畑で
エノコログサ(ネコジャラシ)が人の背丈程に伸長してあたり一面に広がったら、次の栽培ではとても良い作物が収穫出来ると言っていた。
エノコログサは単子葉のイネ科で根が強く、C4型光合成を行うので夏の暑い日に周辺の植物よりも多くの光合成を行う。
もしかしたら、酸性土壌にも強いかもしれない。
エノコロというのは歴史の教科書によく挙がる粟(アワ)のことで、道端に生えているエノコロはアワが野生化したものだ。
アワは雑穀に扱われ、とても強く栽培しやすい穀物らしい。
とても強いというのは、現代の科学でいうところのアレロパシーが大きく作用しているということで、ムギ同様、アワからもアレロパシー作用が検知されたとのこと。
藤井義晴 自然循環型農業における他感作用の応用について - 中日自然循環型農業新技術普及会 (2008 年 7 月 4 日発表)
人の背丈程のエノコロが畑一面に広がるというのが一つの指標であったことから、根や葉の有機物量は当然膨大な量になるわけで、次作の栽培開始1ヶ月程前に刈り倒して鋤き込むと、相当量のアレロケミカルを土と混ぜることになる。
同じイネ科の雑穀ということで、仮にムギと似たような芳香族を含む炭素化合物であれば、土壌中の微生物らにも相当の影響を与えることになる。
今まで排水・保水性の向上こそがエノコロの恩恵だと思っていたけれども、エノコロの発根の旺盛さと刈取りと鋤き込みこそが土壌消毒に当たる行為で、エノコロによる物理性の改善と、病原性がない糸状菌が優位な環境の形成で、実は土壌の生物性も優位な状態から栽培を開始できていたのかもしれない。
稲わらから枯草菌が見つかったという歴史があるので、エノコロわらも都合の良い細菌が繁殖しやすい環境だったりしてと淡い期待をしてしまう。