ポリフェノールのキレート結合についてまでの記事でクエン酸とポリフェノールを例にしてキレート結合について見てきた。
この内容を踏まえて、
シュウ酸のキレート結合について改めて見ていくことにしよう。
シュウ酸は見ての通り、構造が非常に小さな有機酸となっている。
※図:クエン酸鉄(III) technical grade | Sigma-Aldrichより引用
クエン酸は上の図のように折りたたんで鉄(Fe)を掴むといったイメージはできるが、シュウ酸は折りたたんで掴むというイメージが難しい。
ただ、シュウ酸のキレート結合はアルミニウム型リン酸や鉄型リン酸の利用でよく挙がる話題なので、何らかの手段でキレート結合が出来る。
そのヒントとなるのが、シュウ酸鉄錯体で有機酸のキレート作用を見るの記事でも触れたが、
シュウ酸第二鉄カリウムだ。
シュウ酸が鉄の周りに集まり、
カルボキシ基(-COOH)のヒドロキシ基(-OH)の非共有電子対2つずつと鉄が配位結合をしている。
シュウ酸と鉄が配位結合をする時、必ずヒドロキシ基(-OH)にある非共有電子対をすべて利用する必要はなく、鉄に近い方の非共有電子対と結合している。
上の図のシュウ酸鉄で更に興味深いのは、シュウ酸鉄が一つの分子のような振る舞いになり、負の電荷を持っているということだ。
鉄(Fe)の電荷は+3で、シュウ酸は-2で、シュウ酸鉄を形成する時はシュウ酸イオンが3個ある為、
(+3) + (-2) * 3 = (-3)
となる。
シュウ酸鉄イオン?がイオン結合により、カリウムイオンと結合しているのが興味深い。
※上記の構造をトリス(オキサラト)鉄(III)酸イオンと呼ぶそうだ。
トリス(オキサラト)鉄(III)酸イオンは2価の陽イオンの金属イオンと結合することも出来るのか?
関連記事