稲作でよく散布する除草剤は鉄の問題を回避してからの方が良いのでは?までの記事で稲作でよく使われるALS阻害剤について触れ、選択性を担保している箇所を生化学の観点から見てみたら、田の土の劣化を放置することでイネにも薬効が現れる可能性があるのでは?という内容を記載した。


もしかしたら、他の除草剤でも同じような懸念があるかもしれないということで、よく使われている除草剤について整理してみることにする。


とりあえず毎回書いているが今回の記事でも書いておく。

今回話題に挙げるヒエ剤の対象であるイヌビエ(ノビエ)は幸運な事に田の物理性を改善した事によって、イヌビエが生えなくなったという事例があるので、対処法のアタリは付いている。

中干し無しの田を見ていて思うこと




今回見ていきたいのは、ヒエ剤(ノビエ、イヌビエに効く剤)のVLCFAE阻害剤について

VLCFAEはVery-Long-Chain Fatty Acid Elongaseの略で、超長鎖脂肪酸伸長酵素を阻害する除草剤になる。


超長鎖脂肪酸というのは、イソキサゾリン骨格を有する除草剤の可逆的VLCFAE阻害 - 植調 Vol.47, No. 9 (2013)に拠ると、


Arachidic_acid


アラキジン酸等の炭素数が20以上の脂肪酸を指すそうで、超長鎖脂肪酸は植物クチクラのワックス層や細胞膜のスフィンゴ脂質の主成分になる。


上記の報告にあるイソキサゾリン骨格というのは、


3-isoxazoline


のように五員環のうち隣接して酸素原子と窒素原子をもち、かつ分子構造中に二重結合を一つ持つ化合物を指すそうだ。

イソキサゾリン - Wikipedia


上記の内容だけで判断する限り、VLCFAE阻害剤はイネにも何らかの影響を与える可能性があるように見えるが、この除草剤は選択性を持つそうだ。


前に触れたALS阻害剤のように選択性を担保するには鉄が重要だったりするといった事がVLCFAE阻害剤にも合ったりしたら嫌なので丁寧に見ていくことにする。


もし、VLCFAE阻害剤の選択性で見落としている事があったら、イネのクチクラの合成に悪影響を与えるのでしっかりと把握しておきたい。


クチクラに悪影響を与えると、いもち病にかかりやすくなるからね。

いもち病対策の要のMELは何から合成されるか?