最近、野菜の価格が高い。

価格が高くなるのは、市場全体での野菜の収量が下がり、

需要と供給の関係で供給が下がり、相対的に需要が上がったことが要因だろう。


収量が下がる要因には、

単純に栽培する人が減った以外に

天候や獣害によるものも多い。


天候が悪い年は日本全国大概の場所が悪くなるから、

大体の方が不作かと思いきや、

無難に回避して、供給不足時にもそれなりの収量の方がいて、

無農薬栽培を行っている畑で多く見かけた。


無難に回避できている畑の野菜は比較的美味しいので、

それらのノウハウは外のところでも使いまわしたい。


バランス良くとか抽象的でどこにも使えない様な言い回しではなく、

要因をバラして見ていきたいと思う。




今回の話の前に

農薬を使用している方の野菜も美味しいよオーガニックは必ずしも美味しいというわけではないという話を読んでおいて欲しい。


前回は野菜の美味しさを光合成量で定義して話を進めた。

今回は天候不順だと光合成量は落ちるので不味さの方が大事になる。


というわけで野菜の不味さについて定義する。


野菜の不味さを

葉に大量に活性酸素が溜まり、活性酸素は鎮静されていない

虫や獣にかじられ、体を修復している箇所が多い。修復された細胞は苦く不味い

根の酸素不足により、根の伸長が阻害され、美味しさの要因のミネラル吸収量が少なくなる


こんなところだろうか?


活性酸素は葉に病原菌が入り込んだ時に影響を与える。

活性酸素の鎮静に鉄を多く使うと、他のところで使用する鉄が減ってしまい、

硝酸態窒素等の不快な苦味が溜まりやすい。

鉄と上手なお付き合い


虫や獣にかじられた時の体の修復はカルスと呼ばれる細胞が傷口を覆い、

人がそのカルスを食すと苦く不味く感じる。


これら二つの話は、

殺菌剤や殺虫剤を使用している野菜の方がオーガニックよりも美味しいんじゃね?

ということに繋がる。


しかしだよ、

虫は硝酸態窒素を溜め込んだ野菜の葉に集まるという話があり、

硝酸態窒素は葉の中に活性酸素を溜め込まなければ適切に消費されるわけで、

硝酸態窒素が適切に消費されたら虫は過度に寄り付かなくなり

カルス形成の必要度も減り、苦味も減る

※実際は虫は硝酸態窒素からタンパクになる仮定の小さなアミノ酸に寄ってくる。

※硝酸態窒素自体も苦い

苦味を感じるのは生命の危機


ということは、

活性酸素を溜め込む様なストレスを除いてやれば、

野菜の不味さの要因は軽減されるということになる。

続・続・もう、牛糞で土作りなんて止めようよ


もしくは、硝酸態窒素の使用量を減らす

NPKを見るときは、どんな形の窒素かを想像する


これらのことで

施肥や土作りによって野菜が不味くなる要因がわかった。


それではこれからが本題で、

冒頭の天候不順でも周囲程収量が落ちない畑を見ていくことにする。

そこに美味しさの秘訣もあるはずだから。




再度書くけど、

天候不順で栽培にとってマイナスの要因はなんといっても日照不足だけど、

それを助長する要因として集中的な多雨がある。


雨は日照量を増やす以外にも、

土壌が常に濡れているという状況を引き起こす。


常に濡れているという状況を極端な状況まで高めると、


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雨の後は通路からなかなか水が引かない状態になる。


イネの様に根に酸素を運ぶことに特化した作物であれば、

水を張っている状態であっても何も問題ないけど、

外の作物にとっては酸素不足というストレスになる。

※作物の根は通路の水位よりも深いところで酸素が少ない状態になっている


酸素不足は不味くする要因と定義してあるので、

通路からなかなか水が引かない状態は品質に影響していると見て良いだろう。


元水田から転換した畑だと、

降雨の後はすぐにこんな状態になるけど、


天候不順でも確実に収穫する方の畑は、

降雨の後に相対的にはやく通路から水がなくなっている。

※元水田であっても


勾配をつけて水を畑の外に流す工夫をしていたり、

そもそも排水性を高めたりといった対策で水が溜まりにくい状態を作っている

良さは矛盾の中にある




オーガニックと排水性は何が関係あるの?

排水性だったら関係ないじゃん。

なんて感じるだろうから丁寧に見ていくと、


土が固く絞まる要因の一つとして、除草剤の利用がある。

除草剤を使うことで、土に根が入り込んで土が細かくなる要因、

土の中で根が残って団粒構造になり得る要因が極端に減ってしまう。

粘土鉱物を土に入れる前に


草刈りの場合は、土壌に根が残るし、

草抜きであっても、抜いた時に隙間がたくさん出来て、

その瞬間に空気がたくさん入る。


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除草剤は主に通路で利用する。


土に水の逃げ口がなくなっていること、

それはつまり晴れの日に酸素が入り込む隙間も少なくなっている

ということにも繋がる。


酸素が入り込む隙間が少ないということは、

代謝も少なくなっていると見て良いので根の伸長も少ないと見て良い。


根の伸長が少なければ、

根で隙間を増やすことで空気の層が増えることは見込めないし、


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廃菌床のポテンシャル


細かい根の発生が少なくなることで硝酸態窒素の吸収量と相対的にミネラルの吸収量が低くなる

※細かい根が多ければミネラルをたくさん吸収する。

※細かい根と硝酸態窒素の吸収量はあまり関係ない。


というわけで、

除草剤の使用は野菜の品質に影響を与えている可能性が高く、

除草剤を強制的に使用しないオーガニックでは悪い要素の一つを確実に除いているわけで、

オーガニックの野菜は除草剤を使用している野菜よりも美味しい可能性があるという予想が出来た。


この要因は天候不順であっても収量の減りは緩やかになることに繋がる。


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