高知県の四万十町農業者ネットワークさんで肥料の話をしましたの際に
ショウガ栽培で根茎腐敗病という病気に困っているという話題が頻繁に挙がりました。
この病気は一体何なのだろう?と気になったので調べてみることにした。
※写真:しょうが 根茎腐敗病 : こうち農業ネットより引用
ショウガの根茎腐敗病はその名の通り、
根茎が腐敗する病気で、
フハイカビという卵菌類の感染が原因となる病気である。
防除に入る前に卵菌について触れてみることにしよう。
By (Reproduced courtesy of Matteo Garbelotto, UC Berkeley [A, D], and Edwin R. Florance, Lewis & Clark College [Portland, Oregon, United States] and the USDA Forest Service Pacific Southwest Research Station in Albany, California [B, C].) - Nicholls H: Stopping the Rot. PLoS Biol 2/7/2004: e213. https://dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.0020213, CC 表示 2.5, Link
卵菌とは現在の分類において、
菌やカビという名前が付いているけれども糸状菌(カビ)ではなく原生動物に分類されている。
菌(カビ)の定義の一つに細胞壁にキチンとβ-グルカンを持つというものがあるが、
卵菌類はセルロースとβ-グルカンが主成分でキチンを細胞壁に含まない※為、
現在の分類ではストラメノパイルと呼ばれる原生生物の一部として扱われていて菌類として扱わない。
※共立出版 基礎から学べる菌類生態学 10ページより引用
※卵菌類の一部にはキチンを少量含むものがいるらしい
昔、卵菌が菌として扱われていた名残で今でも卵菌と呼ばれている。
他に卵菌類は様々な解析によって、
以前は光合成を行うことが出来る色素体を持っていた可能性があり、
長い進化の過程で色素体が退化した可能性があるとされる。
※株式会社成山堂書店 応用微細藻類学ー食料からエネルギーまでー 23ページより引用
卵菌類はカビではなく藻類であるという情報は非常に重要になるはずだ。
なぜならば、
カビ由来の病気に対する対策が通用しない可能性があるからだ。
具体的に言うと、
カニ殻肥料の基肥でキチンの分解の活発化による病状の軽減だろう。
植物の根からキチンの断片を吸収して免疫の向上も通用しないかもしれない。
関連記事