日常で発酵のお世話になっていることが多く、
発酵食品を好んで食べるという方も多い。
そんな中で、
発酵食品として優秀だから、
発酵に関与した微生物が土壌で頑張ってくれたら有用じゃね?
という意見が多くあり、
その手の微生物資材も多く販売されている。
しばらく後に出てくる話だけど、
微生物資材を入れてるけど、これってこの資材の中にいる微生物のおかげなの?
資材投入の費用対効果はどうなの?
という意見もちらほらと見かける。
これから記載する内容はあくまでも個人的な意見だが、
微生物の働きに期待したいなら、
その微生物が関与する発酵食品の製造過程を確認したら良いと思う。
間違っても、
良い栽培条件と逆行する微生物の資材を高額で購入する
という愚かな判断はなくなると思う。
(写真:納豆 « 商用利用OK&無料の写真・フリー素材を集めました!総合素材サイト|ソザイング)
例えば、納豆の製造に関与する納豆菌
Bacillus natto もしくは Bacillus subtilis var. natto
枯草菌の仲間で稲わらから発見されたらしいね。
ポリグルタミン酸というねばねばした糸を合成でき、
ビタミンも豊富で何より強いという特徴があるため、
是非ともこの微生物の恩恵にすがりたい。
ポリグルタミン酸は保水力があると言われているので、
砂地で乾燥しやすいところで保水性の改善に役立ってもらいたい。
だけど、
納豆菌の条件が作物の生育条件と異なるという場合は困る。
ということで、
納豆菌が最も活躍できる条件、
つまりは納豆工場の製造過程を知れば、
納豆菌に頼って良いかわかるはず。
この疑問に対して良い書籍があった。
株式会社誠文堂新光社から出版されている図解でよくわかる発酵のきほんという本ね。
この本は各発酵食品の製造過程が記載されており、
納豆だったら、
1.ダイズを洗浄
2.浸漬(大豆の重量が2倍になるまで。水温が25度で約8時間)
3.蒸煮(回転式の加圧蒸煮缶で蒸煮する:殺菌)
4.納豆菌を充填(蒸煮ダイズに納豆菌を均一に接種)
5.発酵(温度、湿度が管理された醗酵室で、18~20時間発酵させる)
今までの情報からわかることとして、
・納豆菌はおそらく稲わらを好む
・納豆菌の餌はダイズタンパク(おそらく他の有機物でも良い)
・ダイズは十分に水に浸ってないといけない。
・25度ぐらいの気温が好みそう
・無酸素の環境にする必要はない
昔からある製造の話で、
・高温状態がしばらく続くとアンモニアが大量に生成される。
というものがあったので、
温度が上がるに従って活性化していくと予想される。
となると、
畑に可能な限り稲わらを入れて、
そこに種菌として納豆の豆を投入。
餌はダイズ油粕とか廃糖蜜を入れておけば良いか?
ここまですれば納豆菌の恩恵にすがれそうな気がしない?
仮にすがれなかったとしても、
稲わらとダイズ油粕の腐植が土壌の化学性を高めるので、
土壌が良い条件に向かっていく。
まぁ、微生物の発想として、
適した環境を用意すれば、
目的の菌か近い菌が勝手に増えるので、
微生物を投入する前の準備の方が大事なんだけどね。