恐竜博物館に訪れる前に事前準備として、恐竜に関する書籍をある程度読んだ上で博物館に行った。
事前準備と展示の両方で時々目につく植物の進化の話。
博物館では以前植物に関する特別展示があったらしく、博物館の書籍コーナーに特別展示の時に作成された書籍があったので、購入して読んでみた。
FPDM: 博物館の出版物「恐竜のくらした森 ―恐竜は花を見たか?」
書籍のタイトルは恐竜は花を見たか?で、植物の化石に着目して昆虫や恐竜の情報を追加して、花の進化に挑む超アツい展開の本だった。
※上記で紹介した書籍の11ページ目のより引用
今回の本に限らず、古生物系の本では化石を元に再現したイラストというものが載っている。
上のイラストは恐竜が誕生する以前で、花弁を持つ花を咲かせる被子植物どころか、裸子植物すら誕生していない石炭紀のイラストとなっている。
石炭紀の大きな特徴はシダ植物が栄えた時代と言われることが多いけれども、植物自身がリグニンの合成を獲得し、巨木になれた時代という解釈もある。
石炭紀にはまだリグニンを分解出来る生物がいなかっただろうと考えられており、植物が二酸化炭素を吸収してはリグニンに変え、植物が朽ちた時にリグニンは誰にも分解されず残る。
二酸化炭素は減り、酸素が増え続け、その酸素を元に様々な生物が巨大化した時代でもある。
これを踏まえた上で、先程のイラストの左側を見てもらうと、栽培者ならば見覚えのある特徴的な植物がいる。
そう!
スギナの祖先にあたるトクサ類の植物が巨大化している。
このイラストを見て、スギナはシダ植物に分類されるんだと気付いた。
スギナは胞子として繁殖するので、冷静に考えると被子や裸子植物のようなタネでの繁殖ではないので、必然的にシダ植物になるわけだけれども、
秀品率の悪い畑のど真ん中に堂々とスギナが繁茂しているのを見ると、スギナがシダ植物であると気が付くのは難しい。
なぜならば、シダ植物というのは日陰を好むというイメージが非常に強いから。
話は戻って石炭紀のシダ植物に戻って、石炭紀にはシダ植物が繁栄していたけれども、恐竜が現れてからのイラストでは、
ソテツのような裸子植物が描かれることが多い。
巨大なシダ植物はどうなってしまったのだろうか?
という疑問が発生する。
この疑問に対して、シダは胞子で繁殖、裸子植物は花粉(精子?)とタネという形式で繁殖するという観点から、シダの胞子は昆虫によって食べられ、裸子植物の花粉やタネは昆虫が食べることが出来ない。
裸子植物が優位種になって、シダ植物は日陰に追いやられたという説がある。
これらの流れから、シダ植物は日陰で湿地を好むという形質になったのだろう。
これらの話を踏まえた上で、
畑のど真ん中にスギナが繁茂しているというのは、3億年以上前に繁栄した先祖たちの念願を果たしたことになるのかもしれない。
人の無茶な栽培はスギナたちの念願を叶える手伝いをしたという風に見ることが出来る。
人がスギナを食べると中毒を起こしやすいというのも、胞子を食べられ続けたスギナの祖先たちが、抵抗の為に獲得した形質なのかな?と
化石ハンターは化石を見つける度にこんな感じで過去の出来事をたくさん想像するのだろうな。