窒素肥料過剰でイネの葉の色が濃くなるのはなぜだろう?までの記事でレンゲ米のことを見ている。

近所でレンゲ米を栽培している箇所が数箇所あり、どの水田も一律で薄い葉色と分げつが少ない傾向にある。

これは地上部よりも発根が優勢になっている事に因るものだと予想しているのだけれども、自身で栽培しているわけではないので確認はしていない。


物事を判断するためにはイネの知見が全然ないので、一つずつ丁寧に見る必要がある。

今回は収量に関与する分げつについて見ることにする。




分げつは他の植物でいうところの脇芽(シュート)のことで、イネの脇芽の発生の箇所が地際にあるため、

複葉を意識すると脇芽が見えてくる



この写真のように株数が増えたように見える。

※上の写真は田植え時は三本植えだったが、明らかに茎の本数が多く見える。


これらの茎から穂が形成され、各穂で結実したら収量は当然上がるわけで、稲作において分げつは重要な要因として扱われている。




分げつは脇芽であるため、発生にはサイトカイニン等の植物ホルモンが関与している。

植物ホルモンから再び牛糞堆肥による土作りの価値を問う


植物ホルモンのうち、最近注目されているものが主に根で合成されるストリゴラクトンで、


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以前、カロテノイドの先にあるものの記事で触れた。


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ストリゴラクトンはβ-カロテンの端にある環状の箇所を酸化酵素で開裂したり、途中をぶった切ったりしてできる植物ホルモンで、酸化酵素が欠損した株では分げつが過剰発生したことから、ストリゴラクトンが分げつの抑制に関与していることがわかった。

講談社 新しい植物ホルモンの科学 第3版の151ページを参考


発根量が多い環境ではストリゴラクトンの合成量も増す可能性が高い為、



分げつの発生が少ない(遅い?)レンゲ米の発根の予想の信憑性が増した。

野菜では初期〜中期生育で発根量が多ければ、栽培後期では追肥でどうにでもなるので、おそらくイネも同様であるはずだが、それを確実にするためには他にもいくつか知っておくべきことがある。


参考文献

コメの生産性を規定するアンモニウム同化系酵素の新規な役割 イネにおける窒素代謝に依存した分げつの生長制御 - 化学と生物 Vol. 54, No. 12, 2016