前回のパンから得られる知見を堆肥製造に活かせるか?の記事では、
パンの外側のクラストカラーのメイラード反応において、
焼き上げる前のパン生地に乳糖と乳タンパクを添加すると反応の温度帯が下がるという内容を記載した。
今回は今まで同様、
吉野精一著 BLUE BACKS パンの科学 しあわせな香りと食感の秘密に記載されている内容からハッとしたことを紹介する。
上記の本のパン作りのメカニズムの章の乳酸菌と酵母の共同作業という話題がある。
パンの種類においてはイースト以外に乳酸菌も加えた菌群をパン生地に添加するものもある。
ライ麦パンのパン種のサワードウが該当する。
ライ麦パンの乳酸菌はライ麦自身に住み着いていたもので、
穀物のデンプンが主にマルトース(麦芽糖)になり、乳酸菌によりグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)等に分解しつつパン種が出来上がる。
ここで様々な糖の名前が挙がったけれども、前回の記事で乳糖がメイラード反応の温度帯が低くなるという話題を挙げ、当然ながら温度帯が高い糖もあるわけで、上で挙げた糖も焼き色に何らかの影響を与える。
ライ麦といえば緑肥で定番の作物で、
サワードウが穀物部分の乳酸菌を活性化させるとしたら、
緑肥のライ麦を実がつくまで育ててすき込むと土壌の微生物群が栽培者にとって優位になる可能性がありそうだという話になるけれども、それは触れないでおく。
話は本の内容に戻って、
パンの発酵における酵母と乳酸菌の共同作業の話題で下記の内容が記載されていた。
/*************************************************************/
乳酸菌はグラム陽性の桿菌(かんきん)または球菌です。嫌気下でも生育が可能ですが、ちょっと贅沢な細菌で糖類、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、脂肪酸など、活性化するにはいろいろな栄養素を必要とします。
/*************************************************************/
※吉野精一著 BLUE BACKS パンの科学 しあわせな香りと食感の秘密 161〜162ページより抜粋
巷では様々な栽培用の微生物資材というものがあるけれども、微生物資材は使用する前に利用する微生物にとって快適な環境、つまりは土作りをしなければ無意味で、最初から微生物資材に頼るのはお金をドブに捨てるような行為だ。
土作りという発想があったとしても、ビタミンが必要という発想がなかったことにふと気がついた。
※ミネラルは金属酵素があるので当たり前、脂肪酸は今まで何度か触れた。
肥料 + ビタミンという意識を持つことでもしかしたら自身の想像を超える何かを得られるかもしれないとふと思った。