
木酢液とは?の記事で木酢液に含まれる成分について見た。
最も多いのが酢酸で、今回は酢酸の殺菌性について見ていくことにする。

酢酸はカルボキシ基(-COOH)にメチル基(-CH3)が付いたカルボン酸になる。
二番目に小さいカルボン酸になる。
ちなみに一番小さいカルボン酸は、

カルボキシ基に水素が付いたギ酸になる。
あくまで傾向だけれども、カルボキシ基を一つだけ持つカルボン酸は構造が小さい程強い酸になるので、酢酸は比較的強めのカルボン酸(有機酸)の扱いになる。
本日の本題の酢酸の殺菌性だけれども、簡易的な説明を読んでみると、酢酸を葉等に散布した時に葉表面のpHが下がることによって殺菌作用を示すといった説明をよく見かける。
この説明だと一つ違和感を感じることがある。
それは、

クエン酸という酢酸よりも強酸のカルボン酸で殺菌性の話題を聞かないということだ。
ちなみにクエン酸が強酸である理由は、酸としての要素のカルボキシ基(-COOH)が多いから酸度が強くなる。
クエン酸よりも弱酸である酢酸の方が殺菌性が強くなるのは、構造が小さいこと、特にカルボキシ基(-COOH)に付いている官能基が疎水性(親油性)のメチル基(-CH3)であることが重要になりそうだ。
この疑問を解消できる内容を探していたら、小田原毅等 食品添加物による微生物の抑制 細菌汚染対策編 - 化学と生物 Vol. 61, No. 1, 2023に酢酸の殺菌性についての解説が記載されていた。
ここに記載されている内容をまとめると、酢酸の殺菌性はpHが低くなる絶妙な小ささで且つ親油性があるといったところだろうか。
炭素数が長くなる程、親油性は高まるが、構造が大きくなる分弱酸になっていく。
このギリギリの大きさというのが酢酸になるのだろう。
※ギ酸は構造が最も小さいが親油性の要因のメチル基(-CH3)がない。
※クエン酸は強酸に成り得る要因のカルボキシ基(-COOH)が多いが、親油性の要因のメチル基(-CH3)がない。
親油性が高ければ、菌に酢酸が触れると細胞膜を通過して、細胞内のpHを下げて弱体化させるということが考えられる。
この特徴が植物に対して面白い作用を示すのだけれども、それは長くなるので次回以降で触れることにする。



