石炭紀を生きたスギナの祖先は大きかったの記事以来、
シダ植物とは何なのだろう?
更に突き進みコケ植物とは何なのだろう?
と気になり出した。
諸説あるが、
おそらくコケが最初に陸上で生育出来た植物体だとすると、
コケが上陸する前はどこにも土は無いわけで、
土とは何なのだろう?という問の根本にはコケがあるはず。
私は研究者ではないので、
上記の問に挑み続けるということはしないが、
コケを知ることが業務上何らかの有利になるような気がするので、
コケとは何か?を知ることにした。
とりあえず取っ掛かりとして、
研成社から出版されているコケの生物学 (のぎへんのほん)を購入してみたが、
図が少なく、様々なコケの種類や漢字を知っていることが前提なので
コケについての初心者には非常に難しい内容になっている。
合わせて、
家の光協会から出版されている知りたい 会いたい 特徴がよくわかる コケ図鑑も購入した。
知りたい 会いたい 特徴がよくわかる コケ図鑑 | 詳細|書籍|一般社団法人家の光協会
この本は各用語がイラスト付きで説明されているので、
コケの生物学を読むための辞書的な位置づけで重宝する。
もちろん、
探索をするにはうってつけの優しい説明もあるので、
コケについて触れるには後者の本だけでも良い。
話は戻って、
コケとは何か?に触れる為に定義について触れておく。
コケとは維管束を持たず、胚を持つタネを形成しない植物とする。
一方、シダは維管束を持ち、胚を持つタネを形成しない植物とする。
維管束というのは中学の理科で習う
植物体で根と葉の間で水分や養分を転送するための器官になるわけで、
コケは維管束を持たないということは、
コケは葉から直接水分や養分を吸収出来るということになる。
それ以上に維管束を持たないということは、
維管束の一つである道管を持たないわけで、
道管がないということは道管を形成する細胞(実際には死んだ細胞)にリグニンが付着することがない
ということになる。
※コケにはリグニンが付着しない通水器官のハイドロイドというものがある。
読み物:コケにもある「細胞の一部を自己死させる仕組み」が、植物の陸上化の鍵だった!
コケにはリグニンを蓄積させる機能が無いらしい。
興味深いのがコケはリグニンを蓄積しないけれども、リグニン(実際はリグニンのようなリグナン)を合成する遺伝子はあるとのことで、
リグナン, リグニンおよびノルリグナンの生合成ケイヒ酸モノリグノール経路研究の最近の進歩 化学と生物 Vol. 43, No. 7, 2005
現在主流の土の腐植の蓄積モデルと合わせると、
コケのリグニンは蓄積しないけれども、リグニン(リグナン)の合成の機能はあるよ
というのが大いなるロマンを感じるところ。
やはりコケを知れば、
土とは何だろう?に一歩近づくような気がする。
補足
コケが胚を持つということは、
精子と卵があって受精するという意味で単純な細胞分裂で増殖するものではないということになる。
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