酵母の細胞壁の記事に引き続き、酵母の細胞壁についてを見る。
酵母の細胞壁と糸状菌(キノコ)の細胞壁の違いが分かれば、話題の酵母エキスの価値が更にわかるかもしれない。
前回は酵母の細胞壁の建築でいえば鉄筋に当たるβ-グルカンについて見た。
β-グルカンは酵母と糸状菌(キノコ)で形が異なるらしい。
この内容を踏まえた上で、
中島佑 酵母のキチンはどのように生合成されるか - 化学と生物 Vol.38, No.11, 2000の冒頭に興味深い文章があったので抜粋する。
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キチンはカニ・エビなどの甲殻類をはじめ、昆虫やクモ・ダニの仲間そして真菌類(カビ・酵母)など、生物界に広く分布している不溶性の骨格多糖で、その構造は、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)がβ-1,4-結合した重合体である。(途中省略)菌類において菌類においては、酵母のキチンと糸状菌のキチンでは存在形態が異なり、それが酵母、糸状菌の間の形態の違いに反映している。酵母は、糸状菌と比較してキチン含量が10分の1以下と少なく、また出芽痕の周囲にリングを形成するとともに、出芽における隔壁形成にも関与しているは、酵母のキチンと糸状菌のキチンでは存在形態が異なり、それが酵母、糸状菌の間の形態の違いに反映している。酵母は、糸状菌と比較してキチン含量が10分の1以下と少なく、また出芽痕の周囲にリングを形成するとともに、出芽における隔壁形成にも関与している
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※中島佑 酵母のキチンはどのように生合成されるか - 化学と生物 Vol.38, No.11, 2000 732ページより一部改変して抜粋
どうやら、細胞壁のところどころにキチンがあるらしい。
Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
グルコースの2位の炭素にアセチルアミノ基(-NHCOCH3)が付いた糖で、これがβ-1,4グリコシド結合したものがキチンとなる。
キチンの断片が作物に悪影響を与えるとするならば、キチンの量が少ない酵母エキスは優位になるが、キチンの断片という言葉を聞いて、軟腐病菌の侵攻を止めるには?の記事を思い出した。
今回の話とは少し異なるけれども、キチンの分解が活発になった土壌において、酵母はその影響を受けにくいのだろうなとうっすらと頭に浮かんだ。
これはこれで土作りにおいて一つの指標になる可能性が高そうだ。