最近、アミノ酸について調べているわけで、
アミノ酸の話題に触れていると普通に出てくるのが側鎖の構造で、
タンパク合成の材料となるアミノ酸を集めただけでも20種類あって、
20種類分の側鎖を覚えるのは定期テストでもない限り難しい。
次によく出てくる話題は、
アミノ酸によって中性であるか?酸性であるか?塩基性であるか?
という水に溶けた時のpHの話で、
ここらへんの解釈は農学で生化学を受講した時や、
細胞学でタンパクの合成を学んだ時には話題に挙がらない。
どうにか簡単にイメージできるようにならないか?
と辞書的な書籍を探していたところ、
東京電機大学出版局から出版されているアミノ酸 タンパク質と生命活動の化学
という本に行き着いた。
この本は薬学の方が著者でアミノ酸を前駆体とした薬の話が主で、
アミノ酸を元に合成される酵素については一切触れていない。
生物学で学ぶアミノ酸は殆どが酵素を理解するためのもので、
アミノ酸単体を如何に反応によって更に有用な化合物に変えるか?という視点が私にとって斬新だった。
一例を挙げると、植物ホルモンのオーキシン
By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
トリプトファンというアミノ酸があって、
左側のインドール基(六角形と五角形の箇所)を残しつつ、アミノ酸の基本構造の箇所を脱アミノ、脱炭酸した後、
カルボニル基(-COOH)を付けるといった説明で、
アルカロイドがアミノ酸からどのように形成されるか?が説明されている。
※アルカロイドは窒素を含み、大半は塩基性を示す天然化合物の総称
アミノ酸の何を残して、何を切るか?という説明を何度も読むと、
各アミノ酸にとって重要な箇所はどこか?がなんとなくわかり、
その重要な箇所が側鎖の理解へと続く。
※薬学の方の著書なので、薬の合成がメインです。
アミノ酸のpH周りの話題だけど、
側鎖にカルボニル基(-COOH)があれば酸性、
側鎖にアミノ基(-NH2)があれば塩基性
※アミノ基と結合している炭素に二重結合で酸素がある場合は中性という例外あり
というざっくりしたイメージも今回の本から得た。
例えば、
By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
グルタミン酸の左側に(-COOH)があるため、グルタミン酸は酸性のアミノ酸で、
By Arrowsmaster - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
アルギニンは側鎖にアミノ基をいくつか持つため、塩基性が高いアミノ酸となる。
今まで暗記ものだと感じていたアミノ酸も、
前駆体としての例、荷電の例を付けていくと頭に入りやすくなってくる。
学生、院生の頃にこのような説明に出会っていれば、
タンパクや酵素の反応に対してもっとイメージしやすかったのかもしれない。
以前紹介した星屑から生まれた世界と合わせることで、
もっと生物というものが身近になったような気がする。