前回の酵母エキス入り肥料の効果の記事で酵母の細胞壁であるβ-グルカンの断片を植物が根から吸収すると発根が促進される。
という研究結果を見た。
酵母というのは単細胞のように振る舞っているが、実際のところは細菌ではなく菌として扱われ、ざっくりとしたまとめ方になるけれども、大腸菌のような細菌ではなく、キノコのような菌類の方に分類されている。
それを踏まえた上で、今まで挙がってきた発根に関する内容をまとめてみる。
最初は報告からの内容になるけれども、土に中に水に触れると酸素を発生する塩を仕込んだところ、ネギの生育と発根に違いが見られたらしい。
根も呼吸をしているため、土壌中の酸素濃度というものが発根に関わると見て良いだろう。
そうなると排水性を高めて、土壌中の空気の層を増やして空気の入れ替えが起こりやすい環境が必要になるはず。
次に前回紹介した酵母の細胞壁の断片を植物の根に吸収させて発根を促進する。
植物の根に影響を与える物質は、酵母特有のものでなく、菌類特有のものであったため、
クレジット:photolibrary
コウジカビであったり、キノコであったりといった糸状菌の細胞壁の断片でも同様の効果が得られるはず。
他に発根を促進するように共生する土壌微生物がいるとかいないとか…
今までは発根促進を見てきたけれども、発根を抑制する要素も知っておいて損はない。
なぜならば、発根を抑制する要素を排除することによって、発根促進の効果がより確実なものになる。
発根を抑制する要素を挙げると、植物の周りに栄養塩が豊富にあると、側根の発生を抑える方向に向かうというものがあった。
ここでいう栄養塩というのは、植物があることを認識出来なければならないので、水溶性の栄養塩で速効性のある窒素肥料と見て良いだろう。
具体的に言うと、硫安等の速効性の窒素肥料になるのだろうけれども、
硝酸態窒素がふんだんに含まれた熟成家畜糞堆肥も発根抑制に働くと見ることが出来る。
他に土壌の活性アルミナによる発根障害もある。
まとめると、土壌にフェニルプロパノイドを蓄積させることを考えるのみで、発根促進に関する要素の大体は含まれている。
ということになる。
※フェニルプロパノイド:キノコがリグニンを分解した時に出来るリグニンの断片のこと。リグノイドと呼ばれることもある。
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