先日の肥料講習会での質疑応答で京都農販の木村が返答した内容が非常に印象に残った。

京都市肥料講習会で基肥と予防の話をしました


質問内容は

毎年ネギの黒ぐされ病に悩まされている。

一度発生してしまったら、農薬はほとんど効かず、全滅を覚悟しなければならない。

何か良い手はないか?


それに対しての返答として、

微生物全般を学び、微生物には得意な環境でなければ増殖出来ないルールがあることを知りました。

黒ぐされ菌核病の原因菌を畑に入れないことはもちろん大事なのですが、

入ってしまった場合は原因菌にとって有利な環境にさせないという意識も大事で、

原因菌にとって不利な環境を用意できれば少ない農薬散布量でも期待以上の効果を発揮する。


この返答後に処置の話に入るのですが、

それは下記の記事に任せて、この話はここで終わりにします。

対黒腐菌核病 - 京都農販日誌 - 株式会社京都農販




さてさて、ここから本題に入ることにする。

最近、どこに言っても話題に挙がるのは軟腐病のこと。


軟腐病の写真は検索したらいくらでも出てくるので、

症状の確認は検索してもらうとして、


はじめに軟腐病の原因菌について調べてみる。


ネギ軟腐病に対するプロベナゾール剤の効果的な散布体系について 九病虫研会報 56:1-8(2010)

という論文を読んでみると

Erwinia carotovora subsp. carotovorum(エルビニア・カロトボーラ)という細菌が原因と記載されていた。


このエルビニア・カロトボーラを更に調べてみると、

グラム陰性の通性嫌気性の細菌であることがわかった。

Pectobacterium carotovorum - Wikipedia


感染経路は

土壌中の罹病残渣やネギおよび雑草等の根圏に生息する病原菌が傷口や気孔等から植物体内に侵入することで感染する

ネギ軟腐病に対するプロベナゾール剤の効果的な散布体系について 九病虫研会報 56:1-8(2010) 緒言より引用


軟腐病菌はペクチナーゼという植物の細胞壁にあるペクチンを加水分解する酵素を合成し、

植物体内に感染する際に細胞壁を弱体化させながら侵入する。

ペクチターゼ - Wikipedia


まだまだ情報が欲しいところだけど、

とりあえず軟腐病菌について諸々のことがわかった。


これに対して知るべきことは、

・軟腐病菌はどのような細菌なのか?

・ペクチターゼを阻害する因子が存在するか?

この二点だろう。

ジャスモン酸とサリチル酸


この二点を抑えたら、

あとは細菌用の殺菌剤の使用で解決するはず。


というわけで、

次回から今回挙げた内容を調べてみることにする。


追記

文中にあったプロペナゾール剤の効果はプラントアクティベータになる。

防御の植物ホルモン、サリチル酸