
好調な田の稲穂の籾の色の濃さは何だろう?ということで、他のイネ科の植物や赤米等の色素を調べていった。
赤米の色素のカテコールタンニンについての最後に記載した論文に興味深い内容が記載されていたので、今回はその内容に触れていきたい。
フェルラ酸の機能性について - 日本食物繊維研究会誌 Vol.5 No.2 (2001)にイネ科のヘミセルロースであるアラビノキシランの構造が記載されていた。
その構造というのが、
※ 出典:「植物、特に穀類におけるフェルラ酸の新規機能」太田英明(日本食物繊維学会誌 Vol. 5, No. 2, 2001, pp. 1–10 / [suspicious link removed])図3より引用
これでアラビノキシランをつなぐ架橋として、フェルラ酸が含まれていて、フェルラ酸の末端同士が重合している。
この内容を加味して冒頭の写真の籾の濃さを考えてみる。
フェルラ酸は抗酸化作用があるため、細胞壁を構成する他に、胚や胚乳(米の可食部のこと)が熟す時の酸化でも何らかの機能を発揮しているはず。
イネの株自体が生育環境から強い酸化を受けていて、フェルラ酸の合成量も少なかったら、ヘミセルロースに回せる分のフェルラ酸の量が少なくなる可能性がある。

フェルラ酸はベンゼン環(六角形の個所)を含む化合物であるため、この構造が取り込まれると色が濃くなっていく傾向がある。
フェルラ酸自体は薄い黄色であったはずなので、フェルラ酸を多く含むヘミセルロース程、橙っぽい色に近づいていく。
であれば、イネの株を強い酸化環境におかなければ籾の色が濃くなるということか?
籾の色が濃くなれば、当然籾の細胞壁も固くなるわけで、カメムシによる黒斑の被害も減ったり、酸化を抑えることで胚乳の白濁化も防ぐことができるはず。
フェノール化合物の重合は苦味が増える可能性もありそうなので、その苦味によってカメムシの被害が更に減るといったことがあると良いな。
今回の内容が正しいとすると、強い酸化環境は避けた方が良いな。
酸化還元で重要となるのが、鉄やマンガンなので、株がこれらの微量要素の吸収に苦戦するような環境は避けておきたいところ。




