硫安が出来るところで水マグという名前が出てきたので書いてみる。
水マグというのは水酸化マグネシウムの略で、Mg(OH)2の単純な構造であるけど、とても重要な肥料である。
水滑石という鉱物を粉砕して上の写真のような形状にしたもので、空気に触れると二酸化炭素を吸収して
2Mg(OH)2 + CO2 → MgCO3 + H2O
炭酸マグネシウム(炭酸苦土)に変わる。
水マグ、炭酸マグ、どちらも
Mg(OH)2 + 2H2+ → Mg2+ + 2H2O
MgCO3 + 2H2+ → Mg2+ + H2CO3
H2CO3 ⇆ H2O + CO2
で土壌中のpHを上げる働きのある塩基性苦土肥料である。
水マグ、炭酸マグはどちらもく溶性を示す。
なぜここで水マグについて挙げたかというと、今回の二つのマグネシウムはカルシウム無しでpHを上げられることが最大のメリットで、普段利用する肥料にはカルシウムが含まれている事が多い上、栽培を開始する前に石灰でpHを上げることが慣行・有機問わず慣行となっており、カルシウム過剰で秀品率を激減させているところがあまりにも多い。
秀品率を上げる一手として水マグという存在を知っているだけでも非常に強い。
水滑石の他に
画像:Tabaの鉱物標本箱/その他鉱物の箱より引用
水苦土石 Mg5(CO3)4(OH)2・4H2Oや
By Didier Descouens (Own work) [CC BY-SA 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons
菱苦土石 MgCO3あたりも苦土を含む。
今回話題に挙がった水滑石と水苦土石は
かんらん岩かかんらん岩が変成した蛇紋岩から出てくるらしく、かんらん岩、蛇紋岩が栽培にとって重要になるのは間違いない。
更に言うと、これらの苦土は慣行・有機問わず、現代の農業指導における誤りの一つを解決出来るだけのポテンシャルを持っていることは間違いない。
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