
土壌分析の腐植の測定の熊田変法についての記事で、私の知る限り最も稲作の生育が良い田と、同じ方が始めて栽培される田の土壌分析を行い、予想に反して新しい田の方の腐植の量が多かったことで、分析に用いられた手法を確認してみることにした。
手順は
・土の風乾
・アルカリ抽出(ピロリン酸ナトリウム溶液)
・遠心分離①
・酸沈殿(濃硫酸または塩酸)
・遠心分離②
・過マンガン酸カリウム酸化法
・吸光度測定(今回の測定では行っていない)
で、この方法によりフミン酸やフルボ酸を抽出して測定することができる。
改めて、土壌分析の為に採取した田の土の状況について整理する。
私が知る限り最も良いとされる土は

田の土にも関わらずフカフカしていて、土の採取の時もスコップがすんなり入った。
この土の腐植の量は 2.9% だった。
一方、新しく稲作を始める田は硬くて土の採取の際は力を入れる必要があった。
この土の腐植の量は 4% だった。
イメージとしては、フカフカの土の方が腐植の量が多そうだけれども、そうではなかった。
これを踏まえた上で、今回測定に用いた熊田変法で数値を上げてしまう要因を考えてみることにする。
フミン酸やフルボ酸はポリフェノール、断片化したリグニン、有機酸やペプチドが複雑に繋がった構造という前提で話を進める。
この前提と上で記載した手順で得られる有機物は

ベンゼン環(六角形の箇所)にヒドロキシ基(-OH)が繋がったものや、

カルボキシ基(上の図の右端の-COOHの箇所)の構造を多く持ったものになる。
※熊田変法で抽出される化合物は上の条件のうち、1つ目のポリフェノールの構造の方が重要
この条件を満たしつつ、硬い土で検出されそうな化合物に

ポリフェノールが複数繋がったタンニンがある。
タンニンはこれからまさにフルボ酸へと変わっていくものなので、未熟な腐植と言って良いだろう。
タンニンは酸化しながら、ポリフェノール等を取り込んで徐々に大きな化合物になっていく。
もう一つの特徴として、タンニンは還元性を持つので過マンガン酸カリウム酸化法での分析値が大きくなる。
これが硬い土で腐植の量が多く見えてしまう背景になるのだろう。
吸光度測定までやれば、タンニンの割合まで見えてくるはず。
このタンニンの還元性により、

新しく稲作を始めた田で水面に油が浮いていたで触れた水面に鉄被膜が浮いた理由が見えてきたが、それは次回に触れることにする。




