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ラッカセイの真価を発揮するために石灰施肥に注意する必要がありそうだの記事で、低リン酸耐性作物であるラッカセイが土壌のpHが低い土壌で真価を発揮するが、莢形成時期にカルシウムが必要ということで石灰を与える必要があるというという問題で、施肥後に土壌のpHを高めることがないクエン酸石灰が有効である可能性が高いという内容を投稿した。


これに加えてもう一つ見ておきたいことがある。


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それは腐植質肥料こと、腐植酸だろうか。


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図:藤嶽暢英 土・水環境に遍在するフミン物質の構造化学的特徴とその多様性 学術の動向 2016.2 51ページより抜粋

穴を掘ると黒い層が厚くなっていた


腐植酸というのは、様々な有機物が様々な生物の作用によって上記の構造(不規則)の有機物になったもので、至るところにpHに影響を与えるカルボキシル基等がある。

腐植は動じない


今まで腐植質の肥料を何度も触れてきて、土壌の排水性、保水性、緩衝性(土壌のpHを変動させにくくする)やCEC(保肥力)を改善するという記載をしてきたが、それ以外に大切なこととして、施肥したリン酸肥料の余りの固定を防止するという作用がある。


腐植酸自体にpHを下げる要素がありつつ、


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(農文協 作物はなぜ有機物・難溶解性成分を吸収できるのか 198ページの図を参考にして作成)


土壌のpHが下がることで溶出するアルミニウムを自身に取り込み、土を形成するという特徴があるため、リン酸と強固に結合するアルミニウムイオンの量を事前に減らして、リン酸の不溶化を防ぐ。


ラッカセイの栽培で腐植を徹底的に活用するのであれば、大量の腐植と炭酸石灰を仕込んでおいて石灰を溶かしておいて栽培を開始しても、ラッカセイはポテンシャルを十分に発揮できるかもしれない。