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カテゴリー : 緑肥/page-1

 

降雨時の水の逃げ道に住む草たち

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ヤンマーの「根と微生物の根圏での活動」は、植物の根と土壌微生物の相互作用、特に「根圏」と呼ばれる根の周辺領域での複雑な関係性を解説している。植物の根は光合成産物を根圏に分泌し、多様な微生物を呼び寄せる。これらの微生物は、植物の生育に不可欠な窒素、リン、カリウムなどの養分を土壌から吸収しやすくする役割を果たす。具体的には、有機物の分解や難溶性養分の可溶化を通じて養分供給を助ける。さらに、特定の微生物は植物ホルモンを生成し、根の成長を促進したり、病原菌から植物を守る働きも持つ。根圏微生物の多様性と活性を高めることが、健康な植物育成、ひいては持続可能な農業につながる。

 

土作りを意識したレンゲ米栽培の田の田起こし

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この記事は、土作りに重点を置いたレンゲ米栽培の田起こしについて報告しています。昨年、近隣の田んぼがウンカ被害を受ける中、無農薬で収量を維持できた田んぼの管理者から田起こしの連絡を受け、著者は現地を訪れました。この田んぼでは、レンゲの種まき前に土壌改良材としてベントナイトと黒糖肥料を施肥し、レンゲの鋤込み時期を前倒ししました。これらの施策は、土壌への有機物供給と亜鉛などの微量要素欠乏の防止を目的としています。田起こし後の土壌は、降雨の影響を受けながらも細かい土塊が形成されており、良好な状態でした。レンゲの生育も例年より良好だったことから、土壌中の有機物量増加が期待され、鋤込み時期を早めた効果もプラスに働くと予想されています。昨年同様、低コストで安定した収量を得られるか、引き続き田んぼの状態を観察していく予定です。

 

アルカリ性不良土壌向けの肥料について調べてみた

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アルカリ性土壌では鉄欠乏が起こりやすいが、今回ムギネ酸類似体の安価な合成法が開発された。ムギネ酸はオオムギが鉄を吸収するために分泌するキレート物質だが、高価だった。この研究では、ムギネ酸の一部をプロリンに置換することで、安価で同等の機能を持つプロリンデオキシムギネ酸(PDMA)を開発した。この成果は、アルカリ性土壌での鉄欠乏対策に大きく貢献する。特に、イネ科植物はムギネ酸を分泌するため、緑肥として活用すれば土壌改良に繋がる。ライ麦やエンバクなどの緑肥も鉄吸収を促進する効果が期待される。

 

ヘアリーベッチの可能性を探る

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富山県農林水産総合技術センターは、大豆の増収と地力増強を両立する技術として、ヘアリーベッチとライ麦の混播に着目した。窒素を多く含むヘアリーベッチと炭素を多く含むライ麦を組み合わせることで、土壌への窒素供給と土壌有機物の増加を同時に実現する狙いだ。ヘアリーベッチ単播に比べ、大豆の収量は10a当たり約20kg増加し、土壌の炭素量も増加傾向が見られた。ただし、ヘアリーベッチの窒素含量が高すぎると大豆の生育初期に過剰な窒素供給となり、雑草の繁茂を招く可能性があるため、適切な窒素量のヘアリーベッチを選定することが重要である。この技術は、化学肥料や堆肥の使用量削減にも貢献し、環境負荷軽減にもつながる。

 

田の端の草がこんもりしているところを見て

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田の端の草の繁茂から、水溶性養分が局所的に蓄積しやすい状況が推察される。これは、溝切りによる土の固化と相まって、養分の消費が抑制され、結果として田の端に過剰な養分が残留する可能性を示唆する。この過剰な養分は、イネを病気や害虫に弱くし、田全体への被害拡大の起点となる懸念がある。実際に、ウンカなどの害虫が田の端の弱い株から田の中心部へと侵入する可能性も考えられる。冬の間に田の端の養分問題に対処することで、これらのリスクを軽減できる可能性がある。土作りは不要という意見もある一方で、このような局所的な養分過剰への対策として土作りが重要な役割を果たす可能性がある。

 

レンゲ米栽培の田の冬の端の様子

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レンゲ米栽培の田んぼの端で、単子葉植物が繁茂し、一部ナズナが開花している様子が観察された。田んぼの端は水が溜まりやすく、養分が過多になっている可能性があり、草の生育が速い。ナズナの開花は2月頃からなので時期的には問題ないが、繁茂していない場所では開花が見られない。繁茂していることで、暖かさなど開花の条件が満たされた可能性がある。緑肥栽培においても、養分を多めに与えて生育しやすい条件を作るのが有効かもしれない。

 

レンゲ米栽培の田の冬のレンゲの様子再び

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レンゲ米栽培の田んぼで、2月初旬のレンゲの様子を観察。前回記事に続き、今回はオレンジ色に変色した箇所が目立つ。特に単子葉の草の先端がオレンジ色になっており、これはレンゲより高い位置にあるため寒さに当たりやすいことが原因と考えられる。今後の寒さによる影響が懸念され、継続観察が必要である。

 

秋の荒起こしから秀品率の向上のポイントを探る

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高槻の原生協コミュニティルームでレンゲ米栽培の観測報告会が行われました。レンゲ米栽培は、田植え前にレンゲを育てて緑肥として利用する農法です。報告では、レンゲの鋤き込みによる土壌への窒素供給、雑草抑制効果、生物多様性への影響など、様々な観点からの調査結果が発表されました。特に、レンゲが土壌に供給する窒素量とイネの生育の関係、鋤き込み時期の調整による雑草抑制効果の最適化などが議論の中心となりました。また、レンゲ畑に集まる昆虫の種類や数、水田の生物多様性への影響についても報告があり、レンゲ米栽培が環境保全に貢献する可能性が示唆されました。一方で、レンゲの生育状況のばらつきや、過剰な窒素供給による水質汚染への懸念点も指摘され、今後の課題として改善策の検討が必要とされました。

 

葉緑素の分解産物が根の抵抗性を高めるらしい

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農研機構の研究で、葉緑体分解産物であるフィトールがトマトの根のセンチュウ抵抗性を高めることが判明した。フィトールはクロロフィルの分解過程で生成されるアルコールで、土壌中のフィトールが根にエチレンを蓄積させ、抵抗性を向上させる。このメカニズムは、緑肥を刈り倒し土壌に成分を染み込ませる方法と類似しており、土壌消毒にも応用できる可能性がある。緑肥カラシナによるイソチオシアネート土壌消毒と組み合わせれば、相乗効果でセンチュウ被害や青枯病などの細菌性疾患を抑制し、根の養分吸収を維持、ひいては地上部の抵抗性向上にも繋がる可能性がある。

 

レンゲ米栽培の田の冬のレンゲの様子

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この記事では、レンゲ米栽培の田んぼにおける冬のレンゲの様子を観察し、成長の違いから米の品質向上へのヒントを探っています。晩秋の播種のため、レンゲの生育は遅く、寒さで葉は紫色に変色しています。ところが、田んぼの一部で繁茂するイネ科の草の根元では、レンゲの葉の色が紫色ではなく、成長も良好です。これは、イネ科の草による遮光で、アントシアニンの合成が抑制され、その分の養分が成長に回されたためと考えられます。通常、レンゲは日陰を好みますが、過剰なアントシアニン合成はリン酸欠乏などのストレス反応である可能性も示唆されています。この記事は、イネ科の草とレンゲの共存関係に着目することで、レンゲの生育、ひいては米の品質向上に繋がる新たな知見を得られる可能性を示唆しています。

 

カビ毒のマイコトキシンとは何か?

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植物スフィンゴ脂質は、スフィンゴイド塩基と脂肪酸がアミド結合したセラミドを基本骨格とし、極性頭部が結合した多様な構造を持つ。セラミドの多様性は、スフィンゴイド塩基と脂肪酸鎖長のバリエーション、さらに水酸化や二重結合の有無といった修飾で生じる。植物は動物に存在しないスフィンゴイド塩基や極性頭部を持つ。スフィンゴ脂質の代謝経路は複雑で、各代謝段階で多様な分子種が生成される。これらはシグナル分子として機能し、細胞膜の構成成分としても重要である。近年の研究により、植物の成長、発生、環境ストレス応答への関与が明らかになりつつある。

 

レンゲの播種は稲作収穫後のすぐ後

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レンゲ米栽培では、稲刈り後のレンゲの播種時期が重要となる。10月下旬が播種限界の中、10月上旬が一般的な播種時期とされている。しかし、稲刈り後、レンゲ播種までの期間が短いため、藁の腐熟が問題となる。藁をそのまま鋤き込むとC/N比の問題が発生するため、粘土鉱物と藁を混ぜることで藁の炭素化合物の量を減らし、土壌化を促進する方法が有効と考えられる。レンゲの播種時期を考慮すると、木質有機物ではなく、粘土鉱物と藁のみの組み合わせが有効な可能性がある。

 

ヒメトビウンカの越冬からウンカの防除を考える

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レンゲ米の品質向上には、レンゲの生育と窒素固定量の確保が鍵となる。そのため、適切な播種時期と量、リン酸肥料の施用が重要。特に、レンゲの生育初期にリン酸が不足すると、その後の生育と窒素固定に悪影響が出るため、土壌診断に基づいたリン酸施用が推奨される。また、レンゲの生育を阻害する雑草対策も必要。除草剤の使用はレンゲにも影響するため、適切な時期と種類を選ぶ必要がある。さらに、レンゲの開花時期と稲の生育時期を調整することで、レンゲ由来の窒素を効率的に稲に供給できる。収穫後のレンゲ残渣の適切な管理も重要で、すき込み時期や方法を工夫することで、土壌への窒素供給を最適化できる。これらの要素を総合的に管理することで、レンゲ米の品質向上と安定生産が可能となる。

 

収穫後の田のひこばえを見て、稲作の未来を考える

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亜鉛は植物の生育に必須の微量要素であり、欠乏すると生育不良や収量低下を引き起こす。亜鉛は様々な酵素の構成要素や活性化因子として機能し、タンパク質合成、光合成、オーキシン生合成などに関与する。亜鉛欠乏下では、植物はオートファジーと呼ばれる細胞内成分の分解・再利用システムを活性化させる。これにより、古いタンパク質や損傷したオルガネラを分解し、得られたアミノ酸などの栄養素を再利用することで、生育に必要な資源を確保し、ストレス耐性を向上させている。特に、葉緑体の分解は亜鉛の再転流に重要であり、新しい葉の成長を支えている。したがって、オートファジーは亜鉛欠乏への適応戦略として重要な役割を果たしている。

 

ジャンボタニシの対策の前に生態を知ろう

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ジャンボタニシ対策には生態の理解が重要。徳島市は椿油かすの使用を控えるよう注意喚起している。ジャンボタニシは乾燥に強く、秋にはグリセロールを蓄積して耐寒性を上げるが、-3℃でほぼ死滅する。ただし、レンゲ栽培による地温上昇で越冬する可能性も懸念される。レンゲの根の作用で地温が上がり、ジャンボタニシの越冬場所を提供してしまうかもしれない。理想は、緑肥によってジャンボタニシの越冬場所をなくすことだが、乾燥状態のジャンボタニシに椿油かすのサポニンを摂取させるタイミングが課題となる。

 

風よけとしてのソルゴー

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ネギ畑で風よけ・排水性向上を目的に、ソルゴーを数畝ごとに植えている様子が観察された。ソルゴーの上部のオレンジ色は、開花期の蕊であり、カロテノイドによるものと考えられる。通常、緑肥は開花前に刈り取ることで効果が最大になるが、風よけとして利用する場合、開花による花粉の飛散で微量要素が失われる点に注意が必要だ。レンゲなど開花前提の緑肥栽培でも同様のことが言える。この養分損失への意識を持つことで、作物の秀品率向上に繋がる可能性がある。

 

観測していたレンゲ米栽培の田が無事に収穫を迎えたそうです

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観測対象のレンゲ米水田は、ウンカの当たり年にも関わらず無農薬で収穫を達成した。驚くべきことに、近隣の殺虫剤を使用した水田ではウンカ被害が発生した。この水田は冬期にレンゲを栽培し、土壌改良材を用いて土壌を改善していた。レンゲ鋤込み後の土壌は、軽くて小さな塊の状態になっていた。一方、他のレンゲ栽培水田ではウンカ被害が多かった。このことから、ミツバチによるレンゲの花蜜と花粉の持ち出しが、ウンカ発生に影響を与えている可能性が示唆される。次作では今作の知見を活かし、秀品率向上を目指す。

 

ヒガンバナのアルカロイド

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ニセアカシアはアレロパシー作用を持つため、周囲の植物の生育を阻害する。この作用は、ニセアカシアの葉や根から放出される化学物質、特にロビネチンとジヒドロロビネチンによるものと考えられる。これらの物質は、他の植物の種子発芽や成長を抑制する効果があり、ニセアカシアの競争力を高めている。土壌中の窒素固定能力も高く、他の植物の窒素吸収を阻害する可能性も指摘されている。これらの作用により、ニセアカシアは周囲の植物相を変化させ、単一的な植生を形成する傾向がある。

 

水稲害虫の天敵のこと

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冬期灌水のような環境保全型稲作でも、肥料成分が過剰になると害虫被害が増加する。農薬による防除は害虫の抵抗性や天敵への影響で効果が薄れるため、作物の抵抗性と天敵に着目すべきである。静岡県の研究では、水田のクモ類に着目し、コモリグモ科は米ぬか区、アシナガグモ科はレンゲ区で個体数が多いことがわかった。通常栽培区ではどちらのクモも少なかった。米ぬかは亜鉛豊富な有機質肥料だが、課題も多い。レンゲによる土作りが天敵の増加に繋がる可能性があり、今後の研究が期待される。

 

猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討する

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猛暑日が続く中、稲作における中干しの意義を再検討する必要がある。高温は光合成の低下や活性酸素の増加につながり、葉の寿命に悪影響を与える。中干しは発根促進効果がある一方、高温時に葉温上昇を招く可能性もある。レンゲ栽培田では中干しによるひび割れがないにも関わらず、高温に耐えているように見える。ケイ酸質肥料は高温時の光合成を改善し、特に中干し後の幼穂形成期に吸収量が増加する。ケイ酸吸収が少ないと気孔の開きが悪くなり、葉温上昇につながる。また、珪藻等の微細藻類の殻は、植物が吸収しやすいシリカの形になりやすい可能性がある。

 

中干し後のレンゲ米栽培の田の様子

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レンゲ米栽培田と慣行栽培田を比較観察した結果、中干し後、慣行栽培田では葉色が薄くなっているのが確認された。これは幼穂形成期における養分転流の影響と考えられる。養分転流は微量要素の移動にも関わり、根の活性が高いと新葉での転流利用率は低下する。サイトカイニンは葉の老化抑制に作用するため、発根が盛んなレンゲ米栽培田では葉色が濃いまま維持されている可能性がある。猛暑時期の光合成を盛んにするには、地温・外気温・紫外線対策といった水管理が重要となる。

 

開花させることが前提のレンゲを栽培する時に注意すべきこと再び

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レンゲの開花を前提とした栽培では、ミツバチが花粉を持ち去ることで微量要素、特に亜鉛が持ち出される点に注意が必要です。現代の整備された用水路はミネラル供給源として期待薄で、レンゲ米栽培を続けると亜鉛欠乏を招く可能性があります。米ぬかにも亜鉛が含まれるため、精米や研ぎ汁によって更に亜鉛が失われます。レンゲの花粉の持ち出しと併せて、亜鉛の流出は米の品質低下に繋がる可能性があるため注意が必要です。これはレンゲ米に限らず、全ての稲作に当てはまります。綺麗な水で作られた米が美味しいと言われる一方で、ミネラル不足のリスクも考慮する必要があります。免疫向上に重要な亜鉛を維持するためにも、土壌への適切なミネラル供給が重要です。

 

レンゲ米栽培の水田と無機一発肥料

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レンゲ米栽培では土壌の生物相が変化し、有機一発肥料の肥効が前倒しになる可能性がある。しかし、レンゲ由来の有機物も影響するため、無機一発肥料の方が適している可能性もある。ただし、無機肥料でも水が必要で、中干しで土壌水分が減ると肥効が抑制される。レンゲ栽培では土壌有機物が増えるため、中干しの効果が低く、肥料切れのリスクが高まる。そのため、レンゲ米栽培で一発肥料を使う場合は、肥効の遅いタイプを選ぶか、オーダーメイド対応が必要となる。

 

レンゲ米栽培の水田と有機一発肥料

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長野県JAグループのサイトによると、飯綱町のオオアカウキクサは水田雑草抑制に利用されている。しかし、その効用は水温低下によるもので、稲の生育初期には生育を阻害する可能性がある。一方、生育後期には雑草抑制効果を発揮し、除草剤使用量を減らす効果が期待できる。また、オオアカウキクサ自体も緑肥として利用可能で、持続可能な農業への貢献が注目されている。しかし、水温への影響を考慮し、使用方法や時期を適切に管理する必要がある。さらに、オオアカウキクサの繁殖力の強さから、周辺水域への拡散防止策も必要となる。

 

稲作の中干しの意義を整理する

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レンゲ米栽培の水田では、葉色が薄く地上部の茂りが少ない一方で茎は太く、背丈が揃っている。慣行栽培と比べ、中干し時に土壌のひび割れが発生しにくい。これはレンゲによる土壌改良で有機物が増え、クラスト(乾燥ひび割れ)が生じにくいため。クラストは露地栽培では生育障害を起こすが、水田では発根促進のためのガス交換の場となる。レンゲ米ではひび割れがないことで有害物質の排出が懸念されるが、レンゲが事前に有害物質を軽減している。一方、中干しは根の損傷やROLバリアの質低下といったデメリットも持つ。レンゲ米で中干しの効果が薄まるなら、元肥設計を見直す必要がある。肥料偽装問題で硫安が使用された事例は、土壌への影響を考えると深刻な問題と言える。

 

香り化合物の合成経路から見えてくること

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植物の香り化合物(GLV)は、葉が損傷を受けた際にガラクト糖脂質から合成され、害虫や病害に対する防御機構として機能する。GLV合成経路の研究から、ヘキセナールなどの化合物が病害抵抗性に寄与することが示唆されている。このことから、草生栽培において、定期的な草刈りによって放出される香り化合物が作物の耐性を高める可能性が考えられる。逆に、除草剤の使用は香り化合物の放出機会を奪い、食害被害の増加につながる可能性がある。これは、殺菌剤使用による食害増加と同様に、栽培における新たな課題を示唆している。

 

緑肥栽培中に追肥を行う価値はあるか?

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緑肥栽培、特にレンゲは、地力維持に重要だが、ミネラル流出やアルファルファタコゾウムシによる食害増加など課題も多い。緑肥効果を高めるには発根量増加が鍵で、地上部の成長も促進される。そこで、作物ほどではないにしろ、緑肥栽培中にアミノ酸系葉面散布剤を散布することで、栄養補給だけでなく、病害虫への抵抗性も高まり、次作の生育に有利に働く可能性がある。特にマメ科緑肥は害虫被害を受けやすいため有効と考えられる。イネ科緑肥の場合は、家畜糞堆肥のような根元への追肥も有効かもしれない。

 

開花させることが前提のレンゲを栽培する時に注意すべきこと

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開花前提のレンゲ栽培は、開花で多くの養分が消費・持ち去られるため、事前の土作りが重要。レンゲは多花粉型蜜源で、ミツバチが花粉を大量に持ち去るため、特に亜鉛の喪失に注意。前作の米も花粉を生成し、一部はミツバチによって持ち去られるため、土壌への負担は大きい。水田へのミネラル供給は地域差があり、不明確。耕作放棄地でのレンゲ栽培は、放棄理由が収量低下の場合、蜂蜜の品質に期待できない。つまり、レンゲ栽培、特に開花させる場合は、土壌の養分、特に亜鉛を意識した土作りが必須となる。

 

レンゲ米の質を向上させることはできるか?

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レンゲ米の質向上には、レンゲの生育環境改善が鍵となる。レンゲの旺盛な発根を促し、根圏微生物の活動を活発化させることで、土壌の団粒構造が形成され、難吸収性養分の吸収効率が高まる。具体的には、稲刈り後の水田の土壌を耕し、粘土質土壌をベントナイト等の粘土鉱物や粗めの有機物で改良することで、レンゲの根張りを良くする。さらに、レンゲ生育中に必要な金属成分を含む追肥を行うことで、フラボノイドの合成を促進し、根粒菌との共生関係を強化する。つまり、レンゲ栽培前の土壌改良と適切な追肥が、レンゲの生育を促進し、ひいては次作の稲の品質向上、ひいては美味しいレンゲ米に繋がる。緑肥の効果を高めるためには、次作で使用する土壌改良資材を前倒しで緑肥栽培時に使用することも有効である。

 

レンゲ米は美味しいのか?の続き

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鉄は植物の生育に必須だが、アルミニウムは毒性を示す。土壌中の鉄は主に三価鉄(Fe3+)として存在し、植物はそれを二価鉄(Fe2+)に変換して吸収する。この変換には、根から分泌されるムシゲニンや、土壌中の微生物が関与する。ムシゲニンは鉄とキレート錯体を形成し、吸収を促進する。一方、アルミニウムもムシゲニンと錯体を形成するが、植物はアルミニウムを吸収せず、錯体のまま土壌中に放出することで無毒化する。レンゲなどの緑肥は土壌微生物を増やし、ムシゲニン分泌も促進するため、鉄吸収の向上とアルミニウム無毒化に貢献する。結果として、健全な植物生育が促される。

 

レンゲ米は美味しいのか?

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レンゲ米は窒素固定による肥料効果以上に、土壌微生物叢や土壌物理性の向上、連作障害回避といった効果を通じて美味しさを向上させると推測される。レンゲ栽培は土壌への窒素供給量自体は少ないが、発根量が多いほど効果が高いため、生育環境の整備が重要となる。また、美味しい米作りには水に含まれるミネラルやシリカの吸収も重要であり、レンゲ栽培はこれらの吸収も促進すると考えられる。油かすや魚粉といった有機肥料も有効だが、高評価の米産地ではこれらを使用していない例もあり、美味しさの要因は複雑である。

 

高槻の清水地区のレンゲ米の水田の田起こし

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高槻市清水地区のレンゲ米水田では、冬季にレンゲを栽培することで土壌改良が行われている。レンゲを鋤き込んだ後の水田は土が柔らかく、トラクターの跡が残らないほど軽い。これはレンゲにより土壌中の有機物が分解され、土の粒子同士の結合が弱まったためと考えられる。一方、レンゲを栽培していない隣の田んぼは土が固く、大きな塊が目立つ。レンゲ栽培は土壌の物理性を改善し、イネの根の生育を促進、肥料吸収の向上に繋がる。この水田ではベントナイトも使用されているため、レンゲ単独の効果の検証ではないが、レンゲ栽培は根圏微生物叢の向上、ひいては土壌への有機物馴染みの促進に貢献する。窒素固定も微生物叢向上に繋がる重要な要素である。

 

藤棚の周りを飛び交うクマバチたち

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クマバチは縄張り意識が強く、特に繁殖期にはオスが縄張りをパトロールし、侵入する他の昆虫を追い払う習性を持つ。藤棚のような蜜源の豊富な場所は、メスを惹きつけるため、オスにとって重要な縄張りとなる。 チョウを追い回していたのは、メスと間違えたか、縄張りを守るための行動だったと考えられる。彼らは空中で静止するホバリング飛行を得意とし、他の昆虫を執拗に追いかける。 見た目や羽音は恐ろしいが、人間への攻撃性は低く、温厚な性格である。 針を持つのはメスのみで、オスは刺さない。

 

根は地面を耕し土を形成する

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竹野海岸のグリーンタフ観察から土壌形成の過程を考察。グリーンタフは火山活動で生成された緑色の凝灰岩で、風化しやすい。風化によって粘土鉱物や金属イオンが放出され、土壌の母材となる。植物の根は土壌の固い部分を砕き、根の先端からは有機酸が分泌される。有機酸は鉱物の風化を促進し、根の表層から剥がれ落ちたペクチンなどの有機物は粘土鉱物と結合し、団粒構造を形成する。さらに、根から放出された二次代謝産物は微生物によって重合し、土壌に吸着される。このように、岩石の風化、植物の根の作用、微生物活動が複雑に絡み合い、土壌が形成される過程をグリーンタフ観察から推察できる。

 

緑肥について学んでいた時に指針となった本

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マルチムギは、土壌の団粒化を促進し、排水性と通気性を向上させる効果を持つ緑肥。劣化した圃場でも旺盛に生育し、土壌改良に役立つ。筆者は、マルチムギを播種した区画と播種していない区画で比較試験を実施。マルチムギを播種した区画では、播種していない区画に比べ、土壌硬度が低く、透水性が高いという結果が得られた。これは、マルチムギの根が土壌をほぐし、団粒化を促進したためと考えられる。マルチムギは、耕作放棄地など、劣化した土壌の改良に有効な緑肥と言える。

 

高槻の原生協コミュニティルームで緑肥の話をしました

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大阪府高槻市の生協コミュニティルームで、塩類集積によるハウス土壌劣化への対策として緑肥の講演が行われた。発起人は引き継いだハウスの土壌改善に悩んでおり、緑肥の選定方法などの知見を求めていた。農業における人手不足と土壌劣化は深刻な問題であり、耕作放棄地の増加も懸念される。少ない費用と労力で土壌環境を改善する手段として緑肥は有効であり、講演はハウス栽培の改善に繋がる事が期待される。講演者は京都農販のブログで緑肥に関する記事を執筆しており、ハウス内の塩類集積対策等について発信している。マルチムギの土壌改善効果や緑肥に関する書籍の情報も紹介されている。

 

タデ科の草の根を見る

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筆者はタデ科の草、おそらくスイバの根を観察した。掘り出した根は黄色く、漢方薬に使われるスイバの根の特徴と一致していた。冬の寒さにも関わらず、多数の新根が生えており、冬場も植物が発根することを実感。この事実は緑肥栽培において励みになる。さらに、かつて師事した際に、生育中の緑肥を掘り起こし、根の形を比較する学習をしたことを想起した。

 

ライ麦パンの知見から緑肥の選定に活かせるか?エンバク編

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イネ科緑肥は、土壌への窒素供給効果は限定的だが、土壌構造改善に大きく貢献する。特に、大麦やエン麦などの緑肥は、線虫抑制効果も期待できる。緑肥投入後の土壌は団粒化が進み、通気性・排水性・保水性が向上する。これにより、根の伸長が促進され、養分吸収が向上し、結果として秀品率向上に繋がる。さらに、緑肥の根は土壌を深くまで耕す効果もあり、硬盤層の解消にも役立つ。ただし、緑肥の効果は土壌条件や投入時期、分解期間などに左右されるため、適切な管理が重要となる。加えて、緑肥のすき込み時期を遅らせると、窒素飢餓のリスクも存在する。

 

ライ麦パンの知見から緑肥の選定に活かせるか?

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イネ科緑肥の効果について、従来の窒素固定効果への疑問と、土壌物理性改善効果への注目を再考しています。マメ科と比較して窒素固定効果は限定的だが、多量の炭素供給による土壌有機物増加、団粒構造促進、保水性・排水性向上といった物理性の改善効果が大きい。特に、線虫抑制効果や、後作のリン酸吸収促進効果も期待される。ただし、イネ科緑肥単独での窒素供給は不足するため、堆肥など有機物との併用や、土壌窒素量への配慮が必要。緑肥投入後の土壌変化を理解し、適切な管理を行うことで、持続的な土づくりに貢献できる。

 

植物エクジソンを求めて

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ヨトウガは広食性で農作物に甚大な被害を与える害虫。日本では越冬できる地域が限られると考えられていたが、近年ハウス栽培で越冬する可能性が指摘されている。ヨトウガの卵塊は風に乗って長距離移動するため、越冬場所の特定は防除対策において重要。もし全国的に冬場にホウレンソウ栽培が広がれば、ホウレンソウに含まれる植物エクジソンがヨトウガの生育を阻害し、越冬を抑制する可能性がある。

 

青枯病対策としてのDIMBOA

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アブラナ科残渣すき込みによる土壌復活効果の考察から、トウモロコシ由来のフィトアンシピンDIMBOAに着目。DIMBOAは根から分泌され抗菌作用と有益根圏微生物の増殖促進効果を持つ。これを青枯病対策に応用するため、深根性緑肥ソルガムの活用を提案。ソルガム栽培によりDIMBOAを土壌深くに浸透させ、青枯病菌抑制と健全な根圏環境構築を目指す。しかし、果菜類栽培期間との兼ね合いが課題。解決策として、栽培ハウスと休耕ハウスのローテーションを提唱。休耕ハウスで夏にソルガムを栽培し、秋〜春に他作物を栽培する。連作回避で青枯病抑制と高品質果菜収穫を両立できる可能性を示唆。ただしDIMBOAの他作物病原菌への効果は未検証だが、有益根圏微生物の活性化による効果も期待できる。

 

土壌消毒について見直す時期ではないだろうか?

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土壌消毒を見直すべき時期が来ている。深く耕すと病原菌が浮上する懸念があるが、土壌消毒剤は深部に届かない可能性がある。糖蜜やエタノールを用いた土壌還元消毒は深部の病原菌を減少させる効果がある。これは米ぬかによる土壌還元消毒と同じ原理で、嫌気環境下で有機物が分解される際に土壌の酸化還元電位が変化し、過酸化水素や二価鉄が生成され、ヒドロキシラジカルによる強力な滅菌作用が生じるためと考えられる。土壌改良材、米ぬか/糖蜜、酸素供給材を組み合わせ、マルチで覆うことで、病原菌の生育環境を改善できる可能性がある。連作を避け、ソルガムなどの緑肥を栽培すれば更に効果的。米ぬかは菌根菌増殖や食害軽減にも繋がる。

 

草生栽培は課題を明確化するかもしれない

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マルチムギは、劣化した土壌、特に塩類集積土壌で優れた生育を示す。これは、マルチムギの持つ高い浸透圧調整能力によるものと考えられる。マルチムギは根から多量のカリウムを吸収し、細胞内の浸透圧を高めることで、土壌中の高濃度塩類による水分ストレスを回避している。さらに、マルチムギは土壌の物理性を改善する効果も持つ。根の伸長によって土壌が耕され、通気性や排水性が向上する。また、枯れた根や茎葉は有機物となり、土壌の保水力や肥沃度を高める。これらの効果により、後作の生育も促進されることが期待される。塩類集積土壌は、農業生産を阻害する深刻な問題である。マルチムギは、その対策として有効な手段となりうる可能性を秘めている。

 

硫酸塩系肥料の残留物がある土を緑肥で解決したい

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牛糞堆肥は土壌の乾燥ストレス軽減に効果的な資材である。土壌中の有機物量増加による保水性向上、土壌構造の改善による水浸透性の向上、そして微生物相の活性化による養分保持力の向上が、乾燥ストレス耐性向上に繋がる。化学肥料中心の農業では土壌有機物が減少し、乾燥に脆弱になる。牛糞堆肥は持続可能な農業を実現するための重要なツールとなる。しかし、効果的な活用には土壌の状態や施用量を適切に管理する必要がある。

 

鉄の吸収とアルミニウムの無毒化

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土壌のアルミニウム無毒化機構を持つMATE輸送体は、元々鉄の吸収を担うクエン酸輸送体から進化したとされる。この事実は、緑肥による微量要素吸収効率改善の可能性を示唆する。鉄は土壌中に豊富だが鉱物として存在し、植物が利用するには溶解という困難なプロセスが必要となる。しかし、緑肥は土壌から鉄を吸収し、葉にキレート錯体や塩として蓄積するため、鋤き込みによって土壌へ供給される鉄は利用しやすい形態となる。つまり、緑肥はアルミニウム耐性だけでなく、鉄をはじめとする微量要素の吸収効率向上にも貢献していると考えられる。この仮説が正しければ、緑肥栽培の事前準備にも影響を与えるだろう。

 

レンゲとアルファルファタコゾウムシ

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マルチムギは、劣化した土壌の改善に効果的な緑肥です。土壌被覆による雑草抑制、線虫抑制効果、高い窒素固定能力を持ち、土壌微生物のエサとなる有機物を供給することで土壌構造を改善します。さらに、アレロパシー効果で雑草の発芽を抑え、土壌病害も抑制。線虫の増殖を抑制する働きも確認されています。他作物と比べて栽培管理の手間が少なく、痩せた土地でも生育可能なため、土壌改良に有効な選択肢となります。特に、連作障害対策や有機栽培への活用が期待されています。

 

イネ科緑肥の再考のアレロパシー編

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ネギとマルチムギ(コムギ)の混作で、劣悪土壌の改善、アザミウマ防除、ネギ生育向上に成功した事例から、コムギのアレロパシー物質DIMBOAに着目。DIMBOAは広範囲の病原体への抗生物質だが、土壌への吸着で活性を失う可能性がある。そこで、緑肥マルチムギの効果を高める施肥設計を提案。次作の基肥と共に堆肥を投入し、緑肥の生育環境を整える。さらに、黒糖肥料を追肥することで、糖供給によるDIMBOAの土壌吸着促進と、アミノ酸・金属による成長促進を図る。つまり、緑肥を衰退した環境に植えるのではなく、堆肥と黒糖肥料で積極的に生育を促し、アレロパシー効果を最大限に活かす戦略。同時に、コウジカビがアレロケミカルを宿主にとって無毒で有益な物質に変換する可能性にも言及。

 

シアナミドは土壌の細菌にも効果があるのか?

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シアナミドは石灰窒素の主成分で、土壌消毒効果が期待される。酵母のような真核生物だけでなく、細菌にも効果があることが示唆されている。石灰窒素は酸化還元酵素や脱水素酵素を阻害することで、幅広い微生物に影響を与える。ヘアリーベッチはシアナミドを分泌するとされているが、根粒菌との共生など、根圏微生物への影響は限定的であると考えられる。つまり、シアナミド分泌は選択的に行われている可能性があり、そのメカニズムの解明が今後の課題となる。

 

酵母でのアセトアルデヒドの耐性

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石灰窒素の成分シアナミドは生物にアセトアルデヒドを蓄積させ、毒性を示す。酵母はこの毒性に対し、①NADPHを用いたオレイン酸増加、②グルタチオンによるアセトアルデヒド回収、という二つの防御策を持つ。①は糖からのエネルギー産生を抑制し、代わりにNADPH合成経路を活性化、オレイン酸を増やすことで耐性を得る。②はグルタチオンがアセトアルデヒドと結合し無毒化する。アセトアルデヒドはタンパク質とも結合し、重要な生理機能を阻害、死滅に至る可能性もある。

 

土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?

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ヘアリーベッチは、窒素固定に加え、アレロパシー作用で雑草を抑制する緑肥です。根から分泌されるシアナミドが雑草種子の休眠を打破し、時期外れの発芽を促して枯死させる効果があります。シアナミドは石灰窒素の成分であり、土壌消毒にも利用されます。裏作でヘアリーベッチを栽培すれば、土壌消毒と土壌改良を同時に行え、後作の秀品率向上に繋がると考えられます。さらに、ヘアリーベッチは木質資材の分解促進効果も期待できるため、播種前に安価な木質資材をすき込むことで、土壌改良効果とシアナミド分泌量の増加が期待できます。この手法は従来の太陽光と石灰窒素による土壌消毒より効果的かもしれません。今後の課題は、シアナミドの作用点と、効果のない土壌微生物の特定です。


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