前回のレンゲ米栽培の水田と有機一発肥料の記事で有機一発肥料の話に触れ、有機一発肥料はレンゲ米の栽培には向いていない可能性がありそうだ(あくまで個人的見解)という内容を記載した。


その内容の一つに、窒素等の成分の肥効が前倒しになるため、その余剰分が、




ウキクサの繁茂に影響を与えるのではないか?という内容を記載した。




ウキクサに関して様々な意見を耳にする。

ウキクサを良く捉える方と悪く捉える方がいて、整理するとどうやら田植え直後にウキクサが増殖するのは誰にとっても厄介なことである可能性が高そうだ。

ウキクサが繁茂すると、田の底に光が届かなくなるので雑草防除に繋がるが、光が届かないが故に水温が下がるだとか、ウキクサによって幼苗が倒れて欠株率が高くなるとか。


これらの話題はイネがある程度の高さになってからウキクサが増殖すれば好転する事になる。


ウキクサの増殖には上記以外でも何かあるかもしれないので、ウキクサそのもので検索してみることにした。




イネとは関係ないけれども、森川正章等著 水生植物に見いだされた新しい表層微生物作用 - 化学と生物 Vol. 52, No. 12, 2014という読み物に辿り着いた。

要約すると、水生植物のうちの浮葉植物に分類されるコウキグサにおいて、表層に共生するP23と名付けられた細菌によってクロロフィルが増加して成長が促進された。

興味深い事にこの細菌をレタスに添加しても同様の成長促進作用が見られた。

※チンゲンサイとハツカダイコンもレタス同様の試験を行ったが、成長促進作用は見られず

生活の身近にいる水草


成長促進作用はどうやら細菌が合成する多糖であるらしいが、上記の報告中では機能は不明とのこと。

多糖に関して、別の試験でコウキグサに酵母が合成する酵母マンナン(グルコースとマンノースを主とした多糖)を添加したところ、クロロフィル量が増加した。

興味深い事に植物由来のマンナンではクロロフィルの増加は見られず。

様々な生物たちのβ-グルカン


コウキクサに酵母マンナンを添加したところ、酵母マンナンの量は減らずに成長が促進されたことから、コウキクサは酵母マンナンをシグナルとして捉えている可能性が高い。

酵母の細胞壁




今回の話題はどこかで見たことがあると思ったら、最近注目のビール酵母抽出液でアサヒグループホールディングスのプレスリリースでビール酵母由来の細胞壁成分はイネにおけるシキミ酸経路下流の挙動を変化させ根の生育を向上させるというものがあった。


シキミ酸経路といえば、発根に関与するオーキシンの前駆体となるトリプトファンやサリチル酸の前駆体となるチロシン(またはフェニルアラニン)といったアミノ酸の合成に関与する経路のこと。

植物にとって最重要な植物ホルモン、オーキシン

防御の基礎は芳香族のアミノ酸にあり


今回の報告を読んで、




ウキクサの上にハエが多いことを思い出した。

ハエといえば、二酸化炭素やアルコールに寄ってくるものがいたなということで、レンゲによって活性化した酵母たちがイネに何らかの良い影響を与えていたら良いなって期待した。


余談

ウキクサは窒素、リン酸と鉄が多い環境で増殖する傾向があるらしい。窒素とリン酸は昨今の肥培管理であれば違和感ないけれども、鉄は有機物でキレート化していないと吸収しやすい形にはならないはずで、田植え前の土壌の環境に依存するはず。

キレート鉄の使いどころ