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Coumarin_acsv


サクラの葉のアレロパシー再びの記事でサクラの葉に含まれるアレロパシー物質のクマリンについて再び触れることにした。


クマリンは6員環のラクトン環とベンゼン環が縮合して構成された化合物になる。

前回はラクトン環の方が他の植物や微生物の細胞膜を容易に通過する要因になっているはずという内容を記載した。


今回はベンゼン環の方の作用を見ていきたい。




ベンゼン環関連で理解すべき用語として、π-π相互作用というものを見かけた。

※πをパイと読む


π-π相互作用はベンゼン環などの芳香族環同士(π-電子雲を持つ分子同士)の間に働く非共有結合的な弱い引き合いの力を指し、


pi-pi_interaction

AviMole602 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる


ベンゼン環同士はπ-π相互作用により少しズレながら重なるように配列するそうだ。

π-π相互作用 - Wikipedia


ベンゼン環同士が重なるから何だ?と思いたくなるが、これはベンゼン環を含む化合物の作用を理解する上で重要になるそうなので触れておく。




身近でπ-π相互作用の恩恵を受けているのはタンパクの合成になるだろう。

タンパクは20種類のアミノ酸が直鎖状に繋がりあったものが、


protein_3d_struct2


こんな感じで折りたたまって、ところどころで何らかの結合によって構造を強化することで形を定める。

形によってタンパク(特に酵素)の機能は異なってくる。

タンパクの三次構造の際の結合


タンパクを構成するアミノ酸には、


Phenylalanin_-_Phenylalanine


フェニルアラニンや


L-tyrosine-skeletal


チロシン等のベンゼン環を含む芳香族アミノ酸がある。

芳香族系香気物質


アミノ酸の直鎖に芳香族アミノ酸が組み込まれ、それらが向かい合った時にπ-π相互作用により繋がることでタンパクの機能を決める要因の一つになる。


Coumarin_acsv


ここにクマリンが入り込んだことを想像してみよう。

タンパク全体の構造はクマリン分だけ少し膨らんだ形になる(はず)。


タンパクの機能は絶妙な職人芸により決まっているというイメージがあり、少しでも構造が崩れると失活する。

クマリンはタンパクの構造を少しずらして失活させるというのがアレロパシーの作用ということになるだろう。


何をターゲットにしているのだろうか?

検索をしてみたら、どうやらミトコンドリア(糖からエネルギーを取り出す器官)あたりである可能性が高い。

※ Seyed Mehdi Razavi - Plant Coumarins as Allelopathic Agents - International Journal of Biological Chemistry 5 (1): 86-90, 2011




次に気になってくるのが、サクラはクマリンを合成して影響は無いのだろうか?とクマリンは土壌の微生物にも作用するそうだけれども、土壌中でクマリンの無毒化はあるのだろうか?がある。


サクラの葉で堆肥を作る時は後者の方が重要になってくる。